「見えない都市」(イタロ・カルヴィーノ/河出文庫) - コラム - 専門家プロファイル

高安 重一
有限会社アーキテクチャー・ラボ 代表取締役
東京都
建築家
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「見えない都市」(イタロ・カルヴィーノ/河出文庫)

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韓国を移動中に「見えない都市」(イタロ・カルヴィーノ/河出文庫)を読んだ。

都市なんて言うと建築の本のように思われるかもしれないけれど、
1972年に書かれた現代イタリア文学の名作との事。
きっかけはタイトルだけれど、都市とはどういうものか?
大帝国を築いたフビライ汗が、マルコ・ポーロに今まで見てきた都市の報告をさせるというもの。

日本でない風景を見ながら読んだこともあって、かなり実感をもってロードサイドムービー的に楽しめた。

実在するのか?架空の都市なのか?
フビライ汗も我々も想像をふくらませながら話を聞くことになる。

都市を記述する方法にこんなに多様な方法があるものか。
これはたくさんの都市を説明しているのか?実は一つの都市を説明しているのか?
読むほどに不思議な感覚に襲われるようになった。

内容もさることながら、目次がとにかく凄い。
都市と記憶
都市と欲望
都市と記号
精緻な都市
都市と交易
都市と眼差
都市と名前
都市と死者
都市と空
連続都市
隠れた都市
という、11項目を5編づつの話をするのだが、徐々に始まりながら数列をたどるように終わりに向かう。
都市の始まりと滅亡を感じさせる。

小説なのか?詩の集まりなのか?とあとがきに書いてあったけれど、
こんな構成だけでも体験の価値があった。

もちろん、建築を志す人にはオススメ。
建築家でない人がこれだけ都市のことを記述している(だからできたとも言える)。

我々はこれを前提に都市を考えないと、ますます閉じた世界にはまってしまう。
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