脳死は人の死か? 臓器移植法改正案衆議院通過 - コラム - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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脳死は人の死か? 臓器移植法改正案衆議院通過

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注目の臓器移植法改正案は脳死を人の死と認めるA案が衆議院で可決され、
参議院に送致された。
A案がそのまま可決されると、国内での心臓移植が全面的に解禁される
ことになろうが、脳死を人の死とすることを原則とする法案だけに、
予断は許さない。
18日13時25分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

臓器移植法改正案は18日午後、衆院本会議で採決され、脳死を「人の死」
とすることを前提に、現行では禁止されている15歳未満からの臓器提供を
可能とすることを柱としたA案が賛成多数で可決された。
審議の舞台は参院に移るが、A案の成立に消極的な意見や慎重審議を求める
声が出ており、成立までには曲折も予想される。
採決は記名投票で行われ、投票結果は賛成263、反対167だった。
投票総数は430だった。
共産党は時期尚早との理由で採決を棄権し、そのほかの政党は個人の死生観や
倫理観に基づく問題であるとして、党議拘束をかけず議員個人の判断に委ねた。
A案は脳死が「人の死」であることを前提として、臓器提供の条件について、
書面による生前の意思表示と家族の同意を必要としている現行制度を
大幅に緩和した。
本人意思が不明でも生前の拒否がない限り家族の同意で臓器提供できるよう
改める。
現行では臓器提供の意思表示ができる年齢を15歳以上としているが、
本人意思が不明でも臓器提供が可能になることで年齢制限は撤廃され、
乳幼児からの臓器提供が可能となる。
また親族への臓器の優先提供についても本人の意思表示ができると定めている。
国会に提出された四つの改正案のうち、最も臓器移植の機会を拡大する
可能性があり、患者団体や日本移植学会などが支持していた。
残る3案は、臓器提供可能年齢を現在の「15歳以上」から「12歳以上」
に引き下げるB案、脳死の定義を厳格化するC案、15歳未満について
家族の同意と第三者による審査を条件に可能とするD案だったが、最初に
採決されたA案が過半数の支持を得たため、採決されないまま廃案となった。
A案は同日中に参院に送付され、参院厚生労働委員会で審議が行われる見通しだ。
参院の民主、社民両党の有志議員はC案の考えに近い新案を参院に提出する
構えを見せており、西岡武夫・参院議院運営委員長は「参院でまだ
何の議論もしていない。この問題は慎重にあらゆるケースを考えないと
禍根を残す」として、一定期間の審議が必要との認識を示している。



臓器移植については、学生時代の恩師筋のお嬢様の移植のご支援をしたことが
ありましたので、他人事とは思えない話です。

この話は立場の違いがまともに出てしまう話で、その方の死生観もはっきり
出てくるだけに、難しいところですね。

移植でしか助からない患者さんにとっては、基本的に自国内で臓器移植せよ
という新しい国際ルールは、「死ね」と言われたと同義です。
ですから、今回の改正は何が何でもA案ないしD案の可決が必要なんですね。

しかし、一方で、脳死判定されたものの、ちゃんと生きているお子さんの
親からすれば、「脳死は人の死」を原則とするA案は、自分の子どもへの
死刑宣告に等しいわけです。
この立場からすれば、脳死の厳格解釈を求めるC案であるべきなのでしょう。

双方の立場を踏まえた上で、脳死をどう捉えるべきなのか。
これは我々自身もキチンと理解した上で、議論すべき問題なのでしょう。

この問題を考える上で私が提案したいことは、全ての方がドナーカードを
保有することを目指すことなんです。
私自身は脳死による臓器提供を否定していますので、自己の意思により、
臓器提供をしない旨をドナーカードに託しています。
(財布に入れているのですが、時々行方不明になっていますが・・・)

ドナーカードを持つことで、自分が万が一脳死に至ったときにどうしたいのか、
自分の身をもって考えることが、臓器移植のあるべき姿ではないでしょうか。

お子さんを助けたい一心で臓器移植を海外でというニーズは高いのですが、
日本人が割り込んでしまえば、その国のお子さんを救えないという自己撞着。

私自身も、恩師のお嬢様を救いたいと募金運動に協力していながら、
私自身の問題としては提供を拒否しているという自己矛盾を抱えています。

ただ、他人事ではないだけに、これを機にしっかり考えていきたいですね。