羅生門を読む。 - コラム - 専門家プロファイル

高安 重一
有限会社アーキテクチャー・ラボ 代表取締役
東京都
建築家
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羅生門を読む。

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芥川龍之介の「羅生門」を読む。あまりに短かったので、あっけにとられた。
短編は書き出しと終わりが重要だと思うが、最後の一行の無情さがいい。

黒澤明の「羅生門」は見ているが、
羅生門の下で起こった話ということはおなじだが、内容は全然ちがうので、それにも驚いた。
ある出来事が立場の違う人に言わせると全く別のことのようになってしまうと言う点では共通しているが、
黒澤明の脚本は芥川龍之介に匹敵するくらいの出来ということで、その創作性が際だつ。
いまの映画によくある、原作に忠実な脚本とは根本的に違っている。

それと、芥川龍之介が今昔物語をベースにして大学時代の23才に書いたというのも驚嘆する。
35才で自死しているので、12年位しか作家として活動していない。
建築なんて、デビュー作が代表作ということはあまりないけど、
この世界はいきなり代表作ができてしまうものなのか?

時代を考えてみると、「羅生門」は平安時代のひどい状況の話を大正4年に書いている。
明治にガラッと世の中が変わった印象があるが、結局は薩長の人間と元公家の仕切っていた時代で、
大正に入ってからはそのひずみが吹き出した動乱の始まりだと思う。
初めて原敬が平民宰相とかでもてはやされたり、米騒動や共産党おこったり、
大正デモクラシーと言うくらいで、一般人が苦しんでいた時代だったのかと思う。

そう思うと、平安時代の荒れた一時期の末端の人の話との接点があるように感じる。
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