- 牛込 哲也
- 有限会社牛込建築設計事務所 代表取締役
- 建築家
不便さから学ぶ
-
2006-12-20 00:00
お風呂ひとつ考えてみてもスイッチひとつで準備完了です。
そのお蔭で他の事に時間がまわせますし大変素晴しいと思うのですが、
その一方であまりの便利さゆえに苦労しない事に危険性が無いかと考える事もあります。
私が幼少の頃住んでいた家は石炭でお風呂を沸かしていました。冬などはお湯が冷めてくると大変です。石炭に火をつける為、狭く寒い中にしばらく居なくてはなりません。
しかし、そんな時間の中で率先してその作業をする母、それを「オレがやるから」と言う父。
両親には優しさを教わり、私や妹達は競って「自分がやる」と言うようになっていました。
そして、そのお湯には貴重さが生まれ心の底から温かかったのが今でもいい思い出になっています。
何でも苦労が大きかった分ありがたさも大きい事が多いと思いますが、
家造りを考える時、論理的に説明出来ないとしても、
どこかにそんな部分を残さなくてはならないのだろうと漠然と考えています。