どうしても信じられなかった その2
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2005-12-21 01:30
一瞬おいて、僕より5mほど前にいた他の男性が駆けつけ、
電車が停車するまでのあいだ、その酔っぱらいがモゾモゾ動かぬようにしっかり抱えたおかげで、
何事もなく停車し、(きっと車掌は全然見ていなかったのだろう)普通に発車した。
この出来事に僕はショックを受けた。
いくらなんでも、こんなにも愚かな酔っぱらいがいるのかと信じられなかったし、
予想もできなことを目にして唖然としてしまい、とっさに対応できない自分にもショックだった。
ひとつだけ自己弁護させてもらうと、酔っぱらいとの距離がもっと近ければ
考える前に反射的に行動できていただろう。という気はする。
それにしても、
ホームギリギリのところで脱力してグナグナしている人間を目にしながらも、
アタマでは「・・・いくらなんでも」と、常識の範囲内で自分を納得させようという
思考回路が働いてるのには驚いた。
『基本的に安全』な社会に産まれ育ち、人間としての思慮が深くなり、
その結果、やはり危機意識というのは鈍くなっているようだ。
僕がとっさに動けなかったのは、怖かったわけではない。
自分の目の前で起きている危険を、
どうしても信じられなかったのだ。
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このコラムの執筆専門家
- 須永 豪
- (長野県 / 建築家)
- 須永豪・サバイバルデザイン
響きあう木の空間
森や山と人、地球が健全に回っていく様子を見届けたい。 木を街に届け人の営みに森をもたらし木が、森が、地球が、生命が、人が、そして星々や宇宙までもが響あいはじめるそんな木の建築空間宇宙の意図が起動する響きあう木の空間をつくろう