役員報酬の開示が義務化されるワケと影響は? - IR - 専門家プロファイル

松原 寛樹
中堅企業・中小企業 経営コンサルティング -株式会社マネジメントソリューション- 代表取締役
東京都
経営コンサルタント

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役員報酬の開示が義務化されるワケと影響は?

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金融庁が役員報酬の開示を義務付けた背景は?

上場会社等の不祥事や株主等の利益を著しく損なうような資本政策などが後を絶たず、また、上場企業等の経営が会社内部で秘密裏に行われ、国内外の株主・投資家、金融機関等を中心とした利害関係者への説明責任を果たしていないという声が高まり、いわゆるコーポレート・ガバナンスの強化が求められています。

こういった中で、株式市場の活性化及び投資家保護を意識している金融庁としては、株式市場つまり投資家がコーポレート・ガバナンスの評価ができる制度にする必要があると考えているものと推察されます。

そして、コーポレート・ガバナンスの評価の一つの要素として、役員人事を含めた役員報酬の適切性があげられ、一定額以上(高額)の役員報酬の開示に踏み切ったものと思われます。

役員報酬の開示の概要は?

役員報酬の開示については、「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式の記載上の注意(57)a(d)で記載されています。

その内容は、以下のとおりです。

(1)  取締役(社外取締役を除く。)・監査役(社外監査役を除く。)・執行役・社外役員に区分した報酬等の総額、報酬等の種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等の区分)の総額等

(2)  役員ごとの提出会社と連結子会社の役員としての報酬等(連結報酬等)の総額・連結報酬等の種類別の額等(ただし、連結報酬等の総額が1億円以上の役員に限ることができる。)

提出日現在において報酬等の額又はその算定方法の決定方針がある場合、その内容及び決定方法

1億円以上という線引きの理由は?

金融庁が、1億円を基準とした理由として、日本と比べて高額な役員報酬を支払っている米国において、上場企業約3,400社のCEOの報酬額が1億円前後に多く分布していることから1億円という基準を設けたとしています。

日本の上場会社の取締役の報酬の平均は、約2,500万円であることから、日本の役員報酬が米国等の役員報酬に比べて低いということを考慮した上での設定であるとしています。

したがって、上場会社のすべての取締役の報酬を開示するのではなく、日本においてはかなり高額な役員報酬を得ている取締役のみ開示されるので、一般国民からは、ある程度納得ができる線引きなのではないでしょうか。

役員報酬が開示されることのメリット・デメリットは?

役員報酬が開示されることによるメリットは、上述のとおり、株式市場及び投資家がコーポレート・ガバナンスの状況を評価できるようになるためコーポレート・ガバナンスが強化されるということです。つまり、投資家の多くは、役員の報酬とその会社あるいは役員の業績は連動しているものと考えているので、その役員の業績と報酬が適切であるかをチェックできるというメリットが出てくるのです。

一方、デメリットとしては、役員報酬の開示基準を1億円としたことで、会社の役員報酬の上限が実質的に1億円になり、よいインセンティブを与えることができなくなり、役員のパフォーマンスが低下する可能性が考えられます。加えて、1億円以上の高額な報酬を支払ってでも会社に留めておきたい優秀な役員人材を流出してしまうおそれも出てくる可能性があります。結果として、投資家が気にする株主価値を下げることになります。

また、個人情報保護の観点、個人の安全上の問題が発生する可能性があります。

実務界での反応は?

株式市場・投資家からの反応は、当然のことながらとてもよい反応を示していますが、会社側としては、賛否両論あるようです。

特に、日本と欧米を中心とした諸外国との役員報酬の額の違い、役員の意識の違い、役員の流動性(役員人材の市場の有無)などの違いから、今までのように役員報酬の総額のみの開示でよいのではないかという声や、経済界・産業界との議論が不十分であり、かつ準備期間が短かったということで、その対応を十分できなかったという声が多いようです。

まとめ

役員報酬の開示は、投資家の立場からは、コーポレート・ガバナンスの評価が容易にでき、その強化が期待できます。

しかし、一方で、一連の世界で発生している金融危機などをみていると、欧米流のコーポレート・ガバナンスや株式・資本市場のシステムは万能ではないことは明らかです。日本はそのまま追随してしまってよいのでしょうか。

グローバル経済の中で、どのように日本が牽引し、新たなグローバル株式・資本市場、コーポレート・ガバナンスのあり方を示すような法整備・政策に期待したいところです。 

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