- 森 久美子
- エフピー森 代表
- 神奈川県
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの森久美子です。
お金のことは、よく分からないからとあきらめてはいませんか。お金と上手につきあって、ちゃんと暮らしたいと思っているあなたの「マネー力」をつけるためのコラムです。
ここ数年新聞広告などでのひときわ目立つ金融商品の1つに新型定期預金があります。 「満期日繰り上げ特約付き定期預金」などと呼ばれることもあります。
高金利・元本保証で、さらに金利がだんだんステップアップする円定期預金。さて、リスクはどこにあるのでしょう。
商品には、「元本保証」との表記がありますが、「満期まで預けること」が元本保証の条件になります。原則として中途解約はできません。満期の選択権を銀行側が持っているのが特徴です。一般的な定期預金の場合は、消費者が満期を選択できますが、この商品では満期を選ぶことはできません。
それでも、定期預金金利がせいぜい0.4%程度のとき、10年後の適用金利が1.5%くらいだったとしたら、十分に高いと考えて満期が延長されてもかまわないでしょうか?
銀行にとって預金金利は預金を集めるためのものですから、少しでも低い金利で預金を集めたいはずです。それでは、どのようなときに繰り上げ償還するのか考えてみましょう。
たとえば、満5年経過した時点で銀行側に繰り上げ償還の権利があるとします。これは、銀行は第三者(たとえば企業)に対して、5年後に決められて金利で融資を受ける権利=「融資のプットオプション」を売っていると考えられます。これにより、銀行は第三者からオプションプレミアムを受け取っています。つまり、銀行は、5年後の金利がいかなるものであっても、第三者がこの権利を行使すると、あらかじめ定められた貸出金利で融資をしなければなりません。
たとえば、5年度に預金金利が低下して、1.5%未満であれば、預金の償還を繰り上げて、新しく預金を募集した方が低い預金金利で資金の調達ができます。逆に、預金金利が上昇して仮に2%になった場合は、銀行が支払う預金金利は1.5%ですみます。つまり、仕組み預金は基本的に銀行によって都合がよいように作られているとわけです。
預金者は預金を引き揚げたくても、原則中途解約ができないことになっているので、無理に解約すると割高な解約手数料を銀行に支払うことになって、元本割れすることになり、これも不利な点です。
唯一お得なケースは、預け入れ後、市場金利が低下して繰り上げ償還が行われたときのみということになります。少なくともこの仕組みくらいは理解しておく必要がありますね。
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