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対象:特許・商標・著作権
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中国特許権侵害訴訟の傾向と分析
〜中国企業に狙われる外国企業〜(第6回)
河野特許事務所 2010年6月25日 河野 英仁
専利法第60 条は,「特許権者または利害関係人は人民法院に提訴することができ,また特許業務管理部門へ処理を請求することができる。」と規定している。つまり中国では司法ルートによる解決の他に,行政ルートによる解決をも図ることができる(7)。図7 は司法ルートによる特許権侵害訴訟受理件数及び行政ルートによる特許権侵害処理請求数の変化を示すグラフである。
図7 司法ルートによる特許権侵害訴訟受理件数及び行政ルートによる特許権侵害処理請求数の変化を示すグラフ
人民法院の整備が進んでいることから,司法アプローチを選択する傾向が一般的となっている。なお,図7 に示すグラフは発明特許,実用新型及び外観設計の全てを含んだ件数である。このうち発明特許について人民法院が第一審として受理した案件数は不明であるが,特許業務管理部門に請求された処理案件に関しては,発明特許,実用新型及び外観設計の比率がおよそ2:4:4 と報告されている(8)ことから,人民法院においても発明特許の第一審受理数は約800 件程度と予想される。
中国では原告または被告の一方の当事者が外国企業である場合,当該事件を渉外事件と称する。そして,渉外事件の場合,事件の特殊性に鑑み民事訴訟法において特別な規定が設けられている。例えば,中国では人民法院における審理期間が法定で定められているが(民事訴訟法第135 条,第159 条),渉外事件には当該規定は適用されない(民事訴訟法第248 条)。また上訴期限も国内企業に対して認められる期間と比較して,2 倍の期間が認められている(民事訴訟法第147 条,第247 条)。渉外事件数も年々増加する傾向にある。
図8 は渉外事件数の遷移を示すグラフである。
図8 渉外事件数の遷移を示すグラフ
図8 に示す渉外事件数は特許以外の知的財産をも含む。全知的財産権訴訟の内,渉外事件は約4%を超えるまで増加している。
(3)考察
以上のとおり,中国企業の出願件数及び登録件数が急激に増大していること,及び,発明特許に係る訴訟
件数もこれに併せて年々増加傾向にあることがデータとして明らかになった。中国において事業展開している企業は,中国特許を軽視することなく十分な対策を練ることが必要とされる。続いて日本企業及び韓国企業が発明特許権に基づく特許権侵害訴訟を提起され,巨額の損害賠償金の支払いを命じられた事件を分析す
る(9)。
(第7回に続く)
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