会社の行為は全て商行為になるのか? - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

秋和 雄一
ひかり法律事務所 司法書士
司法書士

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対象:労働問題・仕事の法律

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月05日更新

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会社の行為は全て商行為になるのか?

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このコラムは今回が初回投稿となります。内容は、法律事務所において、債務整理労働問題の事務処理に携わっている司法書士の視点から、内容が身近な裁判所判例についてコメントをし、実際に紛争に巻き込まれてしまった方に対し、ひとつの考え方や相談の糸口を見つける一助にしていただけるものを目指しています。

 

初回は、最高裁判所の平成20年2月22日の判例「会社の行為が商行為に該当するかどうか」の立証責任について、思うところをコメントしてみます。

 

この判例は、会社の代表者が、形式上は会社から個人(知人)への貸付であるものの、実質的には個人的に知人に金銭を貸し渡したが、その知人が約束とおりに返済をせずに、逆に貸金債務の消滅時効を主張してきたという事例でした。(社長にしてみれば、好意でしかも1億円もの大金を用意してあげた!という事例です。)

 

そして、本件貸付が商行為(商法501条以下)ということであれば、貸付債権は商法上の消滅時効(商法522条・商事消滅時効)により、最終返済期限から(多少不正確ですが)5年で消滅することになります。一方、本件貸付が代表者と知人との間の貸し借りで、商行為ではないということになれば、民法167条が適用され、消滅時効が成立するには10年必要ということになります。(本案件は、商法もしくは民法のどちらが適用されるかによって債権が消滅するか否かの運命が決する限界事例でした。)

 

私たちが多くの債務整理の相談をお受けしているなかで、時効に関するご相談も多数あり、しかもその判断をするにあたっては、専門的な法的判断を必要とするものがほとんどです。特に、本判例のように5年の商事消滅時効が適用されるのか、原則的な民法上の10年の消滅時効が適用されるのか?時効を中断する事由はあるのか?消滅時効の起算時はいつか?などについて、専門的判断が必要とされる場合が多いです。

 

通常、会社の取引に関しては、商法が適用されますので、消滅時効も5年ということになります。ところが、本判例は実質が個人間の取引ということで、商法と民法のどちらが適用される案件なのかが悩ましいわけです。

 

最高裁判所は、「会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負うと解するのが相当である・・・」と判断しています。

ということは、もし主張立証をし尽くしたならば、商行為ではなくなり、民法規定が適用されると反対解釈する余地が生まれると考えることもできるのではないでしょうか。

 

この判例によって、当事者が会社なので商法が適用されると疑う余地なく判断してきた今までとは異なった事例分析が必要となったといえ、大きな意義があるといえます。

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