中国における特許性(第13回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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中国における特許性(第13回)

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中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネス方法関連発明の特許性
 〜審決及び判例に基づく特許性の分析〜(第13回) 
河野特許事務所 2010年6月15日 河野 英仁、聶 寧楽


5.出願に際し注意すべき点
 続いてCS・BM関連発明の出願に際し注意すべき点を説明する。

(1)専利法第25 条第1 項
 専利法第25条第1項の規定により拒絶されることを防止するために,出願の際は,発明のカテゴリー及び請求項における技術特徴の記載が重要となる。
 発明のカテゴリーは「方法」または「装置」とすることで同項の適用は回避できる。
 また,請求項中にアルゴリズム,数学的計算規則またはゲーム規則等の「知的活動の規則と方法」を一部に含んでも,これ以外に請求項中に技術的特徴を含み,全体として見れば「知的活動の規則と方法」といえない場合,専利法第25条第1項(二)には該当せず特許を受けることができる。

(2)間接侵害
ここでソフトウェア発明を「装置」としてクレームしたところ,特許に係るソフトウェアが記録されたCD-ROM等の記録媒体が第3者により販売され,または,インターネットを通じて配信された場合に,特許権侵害として訴追できるか否かが問題となる。専利法第11条は以下のとおり規定している。
 「第11条
…生産経営の目的でその特許製品を製造,使用,販売の申出,販売,輸入し…てはならない。」
 このように専利法第11条は「装置」クレーム に対する直接侵害についてのみ規定していることから,「プログラム」が記憶された記録媒体を第3者が販売しようが,インターネットで配信しようが専利法第11 条にいう特許権侵害とならない。
 中国専利法及び実施細則には日本国特許法第101条に対応する間接侵害規定は存在しない。ただし中国では「間接侵権」と称され過去の判例で数多く特許権侵害を認めている。
 最高人民法院は,間接侵害についての法解釈をより明確化すべく司法解釈案20)を公表した。
 司法解釈案第16 条第1 項は以下のとおり規定している。

 「第16 条 関係製品が,特定の発明または実用新型特許の実施のみに用いられる原材料,中間製品,部品,設備等であることを,行為者が知りながら,それを,特許権侵害行為を実施するためのものとして第三者に提供し,権利者が当該行為者と第三者と共に民事責任を負うと主張する場合,人民法院はその主張を認めるものとする。」

 すなわち,ソフトウェア販売者が発明の実施にのみ利用されることを知りながら当該ソフトウェアを第三者に提供し,第三者が当該ソフトウェアをインストールしたPCを販売することによって,特許権を侵害した場合,販売者と第三者とを共同で訴えることができるのである。
 しかしながら,プログラムをインストールして「装置(PC)」を「製造する」第3 者は「業」としてではない最終ユーザであることが多く,特許権侵害訴訟を提起できないことも多い。
 この抜け穴を防止すべく同条第2 項は以下のとおり規定している。
 

 「当該第三者の実施が生産経営を目的としないが,権利者は当該行為者が民事責任を負うと主張する場合,人民法院はその主張を認めるものとする。」
 すなわち,最終ユーザ以外の業者のみを被告として特許権侵害訴訟を提起することができるのである。
 現在提案中の司法解釈案第16条が正式に制定されれば21),「装置」クレームによっても,当該発明に係るプログラムが記憶された記録媒体を製造・販売する行為,さらにはプログラムを,インターネットを通じて配信する行為をも特許権侵害として主張することが可能となる。

(3)専利法第2 条第2 項
 専利法第2条第2項による判断,即ち「技術三要素」の判断には,以下の判断基準が成立する:
(技術的課題=1)AND(技術手段=1)AND(技術効果=1)=>(技術解決法=1)
 つまり,技術的課題,技術手段,技術効果のいずれか一つが「非技術的」である場合,当該発明は技術解決案でないことから,法上の発明に該当しないと判断される。これらの三要素は緊密に関連している。以下,三要素それぞれの判断方式について個別に分析した上で,出願に際し注意すべき点に言及する。
 

(第14回に続く)  

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