- 末松 信吾
- エス・エヌ・ジー デザイン 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
問い合わせや相談の中でよく耳にする言葉があります。
「ホームページを見て、初めて構造設計というのを知りました。」
「初めて、設計が専門分野に分かれていることを知りました。」
というような事をよく聞きます。
改めて、こちらのコラムにも書いてみたいと思います。
私も学生の頃、この記事を興味深く読んで頂いている方々と同じような感覚で、設計事務所というイメージを持っておりました。それは、設計事務所自身で、全ての設計という行為が完結しているのだとかってに思い込んでおりました。さらには、建築士は、全ての分野を網羅し、実務レベルで常に全ての業務を1人で行っているという風にも思い込んでおりました。実際、学生の頃、3〜4年生辺りから、実は、専門分野に分かれていて、その専業の設計事務所があるのだという事実を知っていくことになります。
その専門分野とは、大きく分けて3つの分野に分かれております。
概略は、次のような感じです。
(1)意匠(いしょう)設計:こちらは、計画やデザインを行うのがメインとなります。立場的には、設計全般を統括する場合が多いようです。一般的に皆様がよくイメージされている設計事務所と考えてもほぼ間違えではありません。
(2)構造設計:こちらは、柱や梁といった構造的な部分の解析を行ったり、建物の構造的な安全性を設計する分野です。コンクリート、鉄筋、木材、鉄骨等の安全性を設計しているというとイメージしやすいのかも知れません。立場的には、統括する意匠設計者のサポート役という感じです。
(3)設備設計:こちらは、建築に関わる設備全般を設計する分野です。電気の配線、給水、排水、ガス、空調機、換気扇、エレベーター等を設計しているという感じでしょうか。こちらも構造設計者同様に、統括する意匠設計者のサポート役という感じとなります。
このように設計は、3つの分野に大別することが出来ます。その他には、照明計画だけを専門にしたり、ランドスケープと言って、周辺環境を計画する専門分野の強者もおります。
日進月歩のこの時代には、より専門的な知識を持っておかなければならない時代です。だからこそ各専門分野が集まって、チームとなって設計が行われております。
ここで、断っておきますが、専門外だからと言って、建築士は、他のことは知らないということではありません。全ての分野において、それなりのレベルで知識を持っています。そうでなければ、国家資格である建築士の称号は与えられません。
ですので、掘り下げて考えていく時に実務レベルで仕事が出来るのかという違いだけで、その知識や技術が無いという訳ではございません。
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