中国における特許性(第7回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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対象:特許・商標・著作権

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中国における特許性(第7回)

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中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネス方法関連発明の特許性
 〜審決及び判例に基づく特許性の分析〜(第7回) 
河野特許事務所 2010年6月9日 河野 英仁、聶 寧楽


(v)【具体例3】
【請求項】
 画像ビジネスシステムであって,
 前記画像のデジタル画像データを受け付ける受け付けコンピュータと,前記デジタル画像データの固有操作条件は印刷条件を含み,
 前記デジタル画像データを記録する保存装置と,
 インターネット網を通じて伝送される前記デジタル画像データを,印刷写真の形式に基づき前記受け付けコンピュータで現像するために,前記保存装置中の前記デジタル画像データを,前記インターネット網を通じて前記受け付けコンピュータへ伝送する伝送装置と,前記印刷写真の形式は既に前記印刷条件に基づき修正されており,
 前記固有操作条件に伴う前記デジタル画像データの購入電子費用の記帳事務を行う費用記帳コンピュータとを備える。
【発明の詳細な説明】
 従来写真を現像,焼き付け,拡大するためには写真店に行く必要がある。それ以外は郵便により写真を購買者に送る必要がある。このような販売過程は複雑であり時間を要するものであった。
【案例分析】

 結論:保護客体とならない。
 当該出願の背景技術に基づけば,現在の写真販売は依然として,伝統的な店舗での販売方式を採用している。本願は,伝統的ビジネス活動において,コンピュータ及びインターネット技術を採用し,電子化データ伝送処理を行うものである。
 従って,背景技術に基づく課題は技術的課題であるといえ,S3 の判断はYesとなる。
 S5 において,審査官は当該課題に基づき検索を行いU.S.XXXを抽出したと仮定する。U.S. XXX
には,現有技術中に既に存在するコンピュータ及びインターネットを利用してデジタル音声・画像
製品を販売するシステムが開示されていると仮定する。つまり,コンピュータ及びインターネットを用い,写真を広め,顧客に写真を提示することは技術上既に解決されていると認定できる。そうすると本願請求項に係る発明は,U.S.XXXにおいて成熟した技術を写真の「現像・焼き付け」に採用したものであり,販売される物品が相違するにすぎない。
 従って,本願の解決課題は異なる物品の販売という非技術的課題と認定できる。従ってS6においてNoと判断され,専利法第2条第1 項にいう技術案には該当しない。逆にU.S.XXXが存在しなければ特許性有りと判断される。

(第8回に続く)

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