先日、ある研修専門会社の取締役の方とお会いした時のお話です。
その方が最近いろいろな企業を回る中で、「人間力を高める研修」という話が良く出るそうです。ではその「人間力」とは何かを突っ込んでいくと、当然といえば当然ですが人によって言うことが違います。ある人はコミュニケーションと言い、ある人はカリスマ性と言い、ある人はリーダーシップと言うといった具合です。なかなか真意がつかみづらいため、その取締役の方は「人間力」にかかわりそうな要素とその定義をチェックシート化し、ニュアンスをまとめることができないかという試みをしていらっしゃいました。
実は私も同じように「人間力を高める」とか「人の器を大きくする」といった内容を研修目的としてオーダーされることが増えている感じを受けていました。チェックシートを頂き、それを眺めながら「人間力とは何か」を自分なりに考えていたのですが、今の段階で出ている答えとしては、人間力とはその人の知識、経験、人格などを総合したふところの広さであり、すべての学びは人間力につながっているのではないか、ということです。この理屈だと、どんな研修でも人間力を高めることにつながっていることになってしまいますが、人間力とは結局そういうものではないかと思います。
「人間力を高める」という研修テーマが出るということは、人としての幅の広さが失われているということであり、かつては自然と身に着けてきたことが出来づらい環境になっているのでしょう。専門性や難易度が増した業務、人間関係の希薄化など、経験できる事柄や幅が減少しているようにも思います。それ以前の教育の問題、人生経験もあると思います。
「人間力を高める」ということの定義を標準化することは難しそうです。結局「人間力」を自分たちなりに定義し、自分たちなりの優先順位をつけて、出来る取り組みをしていくことになるように思います。私もそんな視点でそれらの取り組みをお手伝いしていければ、と思っています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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