- 吉野 充巨
- オフィスマイエフ・ピー 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
5月は、ギリシャ危機を発端として、先進国・新興国等の株価の急落、PIIGSなどの国債の暴落(金利の急騰)と米国債券、日本国債など安定した国の国債の価格上昇(利率の低下)、そして、通貨では円とドルが買われ、ユーロや資源国、新興国の通貨が売られました。リーマンショック後景気回復途上の世界経済に水をかけられた格好です。
それらの変動から、我々一般投資家(生活者)として、「どのように対応すれば良いのか」を考察いたしました。 今回の急落で、皆様は株式や資源国通貨を機敏に売り抜けることが出来たでしょうか、本文は機敏に対応できた方には必要が有りませんが、「逃げ遅れた」または「動かなかった」方たちに送る一文です。
『ゆっくりズムで行こう、我慢の資産配分と分散投資のお勧め』。
FPとしてお客様のライフプランと資産運用をサポートする者から見て、資産を形成しようと期するなら、期間は長期、対象は国内外の株式・債券・商品などでの分散投資をお勧めしています。
私たちの資産を考えて見ましょう。よく私は預貯金だけですから、リスク資産は保有していないという方がいらっしゃいます。が、それは資産の一部で、保有する、住宅、貴金属、年金、保険等を考慮すると殆どの方の資産はバランス・ファンドになっています。これらを考えると我々自身が自分のファンド(資産)のファンド・マネジャーです。
現在、我々の預貯金を預けている金融機関は国内外の債券(特に日本国債は主要な資産)や企業への貸付などに投資されています。また、一つの金融機関の預金の保証は1,000万円とその利息分ですから、それを超える部分はリスクを取っていることになります。 従って、我々は金融・経済の情報に応じて、資産の運用を考える必要が有ります。
ただ、ファンドマネジャーと同様といっても、自分のファンドに使える時間や方法は限られます。
現況の資産運用の状況を考える一例として、 2010年5月はギリシャの財政問題を発端とする、投資家のリスク回避の行動から、 通貨では円が買われユーロ安・ドル安の進行、日本、米国等の金利低下、各国の株価下落が急激に進んでいます。
別表に示されるように為替は主要な通貨に対して、全て円高に振れています。4月の30日にこれらを予測して、円持ち=他通貨の売りを的確に行えたでしょうか。 そして、米国ドルと豪ドルでは下落率の倍率は3倍以上になります。米ドルを継続保有して、豪ドルは売ってしまうという判断も必要に為ります。(日経WEBクロスレートより筆者作成)
これに対応するには、結構忙しく、豪ドル売りや買戻しを行わなければ為りません。その事が出来なかったFX取引ではかなりの方がロスカットに追い込まれています。プロの金融機関でも為替で損失を出したために、倒産に追い込まれた事例が沢山有ります。
私は、FXは資産形成には向いていない運用手段と考えています。
ただし、長期的な投資として外貨MMF、ETF(債券、株式を対象とする)を保有する場合に通貨分散を図る事をお勧めしています。長期的には各国通貨は夫々の購買力平価の比較で高安が変動します。 ただ、何処の国がどの程度発展するかが不明ですし、ブームやバブルが弾ければ円への回避なども発生します。明日の価格が分からないとすれば、通貨分散を都度の情勢では動かないという姿勢が優れていると考えています。
『当コラムに掲載した資料は、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。投資による損益はすべて読者ご自身に帰属いたします。
投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
本資料は、信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、その情報の正確性若しくは信頼性について保証するものではありません。また、情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。 』
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