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対象:特許・商標・著作権
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中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネス方法関連発明の特許性
〜審決及び判例に基づく特許性の分析〜(第2回)
河野特許事務所 2010年6月4日 河野 英仁、聶 寧楽
2.CS ・BM 関連発明の特許性判断
(1)専利法の規定
中国専利法第2条第2項5)は以下のとおり規定している。
「専利法第2 条
2.発明とは製品,方法またはその改良について提出された新しい技術案をいう。」
そして,特許を受けることができない対象が専利法第25条第1項に列挙されている。CS・BM関連発明の特許性で問題となるのは同条(二)である。
「専利法第25 条
1.下記各号に掲げるものに対しては,特許権を付与しない。・・
(二)知的活動の規則と方法」
(2)CS 関連発明に対する審査
専利法及び実施細則にはこれ以上の規定はなく,具体的な審査は審査指南第2部分第一章「特許権を付与しない出願」及び審査指南第2部分第九章「コンピュータプログラム関連発明特許出願審査の若干規定」に則って行われる。
(i)知的活動の規則と方法
審査指南第2 部分第一章には特許を受けることができない「知的活動の規則と方法」の例として以下を挙げている。
「組織,生産,商業実施及び経済等に関する管理方法及び制度,コンピュータ言語,計算規則,数学理論及び換算方法,各種ゲーム,娯楽の規則及び方法,情報表現方法,計算機プログラムそのもの」
このように審査指南においては「計算機プログラムそのもの」を明確に専利法の保護対象から排除すると共に,「商業実施及び経済等に関する管理方法」を挙げ,ピュアなビジネス方法をも専利法による保護対象から排除している。
ただし,請求項中にアルゴリズム,数学的計算規則またはゲームの規則等の「知的活動の規則と方法」を一部に含む場合であっても,これ以外に請求項中に技術的特徴を有する場合,専利法第25条第1 項(二)には該当せず特許を受けることができる。例えば,遊戯装置が遊技方法以外の技術的特徴を含む場合は特許性が肯定される。
(ii)発明のカテゴリーについて
中国におけるCS・BM関連発明に対する発明のカテゴリーは「装置」及び「方法」しか認められていない。請求項中に「プログラム」,「プログラム製品」,「パッチ」,「命令」または「コマンド」等のカテゴリーを記載した場合,請求項の内容の如何にかかわらず,専利法第25 条第1 項(二)に該当するとして拒絶される。
(第3回に続く)
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