22年改正(4) 清算所得の廃止 清算から譲渡へ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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22年改正(4) 清算所得の廃止 清算から譲渡へ

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税制改正 平成22年度税制改正
今回の改正で実務的に結構影響が大きいかも、と考えているのが、
清算所得の廃止に関する改正です。
清算所得の廃止に関しては、税制改正大綱においてわずか4行しか
触れられておらず、その半分は連結の話ですから、わずか2行でした。
これを書くにも、情報がほとんどなくて困ったのですが、
同じ支部のある先生からも「研修でぜひ取り上げて欲しい」と
リクエストがありましたが、やはり似たような問題意識を持っている
先生も多いのではないでしょうか。

まず、清算所得に関しては、これまでは、法人が解散した後、最終的に
残った残余財産の財産価額に対して、課税しようという考え方でした。
つまり、いわゆる期間損益計算ではなくて、最終的に処分する時に
まだ財産が残っているのであれば課税しようというスタンスだったんです。

ところが、最近では、法人の解散手続はするのですが、解散手続において
会社財産を整理していくと、負債しか残らないケースが多いためか、
最終的に会社の清算結了をせず、そのまま放置されるケースが多いようです。
課税上は結局課税できないので、問題がないように思いますが、
法務局では、10年間放置され、職権で清算されるのを待っている法人が
溢れてしまい、法務局本来の仕事に支障が出かねない状況になって
しまっているようです。また、清算されずに放置された法人が悪用される
事例も出てきているようです。

そこで、税制上も清算期間中の会社の取引を規制できるように、清算中の
会社も通常の会社と同じく期間損益計算の対象とすることとしたようです。
ですから、清算中の会社が資産を譲渡すれば、キャピタルゲイン課税の
対象になるのです。

しかし、実務的には欠損金の繰越控除期間である7年間のうちに繰越損失を
使い切れずに期限切れとなってしまっている場合が多く、従来であれば、
残余財産の整理の際、債務免除をした場合には、多額の債務免除益が計上され、
残余財産がないにもかかわらず、多額の法人税を負担しなければならなくなる
ことが考えられます。そこで、残余財産がないと見込まれる場合には、
青色欠損金が苦闘以外の欠損金額を損金に算入できるようになっています。

なお、この改正は平成22年10月1日以後に解散する場合に適用されます。