中小企業の場合、マネジメントが任せられる人材を豊富に抱えていることは少なく、結果として「その人ありき」の組織構成になっていることが多々あります。要するに「部長クラスが5人いるから部門も5つ」というようなことで、組織構成が事業構想や機能に基づくものではないということです。
ただ、中小企業で事業構想や機能を優先して組織を作ったとしても、単に職制の兼務が増えたり、能力的に難しい人に無理やり管理者を担わせたりということになって、結果的に組織が機能不全に陥る場合もあり、これも好ましいことではありません。
結局どのようにバランスを取っていくかということになるのですが、私が唯一やってはいけないと考えるのは「その人ありき」に偏り過ぎる事です。会社の事業的な発展と人材の進歩を妨げてしまうためで、実は多くの中小企業はこの傾向があります。
「その人ありき」は言い換えると「現状ありき」ということです。「人がいないからできない」と言っていることと同じです。「その人ありき」に偏ると「今は無理」、「今は出来ない」という話ばかりになってしまい、その時点で会社の成長は止まってしまいます。
やはり組織を考える順序としては、まず事業構想に基づいた機能と構成を考え、それぞれの構成部門にどんな人を当てるか考え、当てられる人では不足があるなら補完しあえる人や補佐できる人がいないか考え、それも無理なら初めて「その人ありき」で組織化の断念などを考慮する、ということだろうと思います。
もし今まで「○○さんには何をやってもらおうか」から組織を考えていたならば、一度理想とする組織の形から考え始めてみると、今までとは少し違ったものが見えてくるのではないかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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