不動産ファンドが危機に陥った理由 - 不動産投資・物件管理全般 - 専門家プロファイル

中村 嘉宏
株式会社イー・エム・ピー 代表取締役
東京都
宅地建物取引主任者

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対象:不動産投資・物件管理

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不動産ファンドが危機に陥った理由

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投資全般
・・・2010年3月5日号 EMPメルマガより・・・


シービー・リチャードエリスと
ラサールインベストメントマネジメントが
世界主要都市の
金融危機後の不動産投資市場の動向と
今後の見通しを発表しています。

東京に限って言えば、CB社は
「依然買い手市場で、
 国内の富裕層や金融機関に支えられ、
 投資マインドは徐々に持ち直しつつある」
と分析。

一方、ラ社は
「アジアの回復に比べ遅れているものの、
 二番底リスクは後退。賃料の低下が一服したが、
 純営業利益の低下はこれから始まる」と、
投資市場の危機はこれから始まると指摘。

「賃料下落による営業利益の低下で
 一部元利金の返済が出来なくなる物件が増え、
 強制売却が増える」
と分析しています。


すでに、新聞や経済誌などで報道されていますが、
ダヴィンチ・アドバイザーズが
苦境に立たされています。

今年度の決算は263億円の赤字を計上し、
110億円の債務超過に転落。

2000億円で取得した
「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」は
1400億円で売却、
1430億円で取得した「芝パークビル」の返済も
滞っているといいます。

かつては、年金などの資金も集め
「1兆円ファンド」を運用していた不動産ファンドの雄も、
リーマンショック後の
金融危機と不動産不況の波を
もろに被った格好になっています。


同社だけでなく、昨年から今年にかけて
多くの不動産ファンドが
倒産や廃業に追い込まれました。

20年前のバブル崩壊時も
デベロッパーの倒産など同じようなことが起こりましたが、
なぜ今回も同様のことが起こるのか。

一番の理由は
不動産ファンドの業態にあります。

不動産ファンドの運用会社には
高利回りを期待する
大量の資金が集まります。

特に、今回のような
過剰流動性が高い金融情勢の場合、
「使い切れないだけの資金」が
湯水のように流れ込みます。

運用会社はその資金を運用するため、
物件を買い続けなければならない宿命にあります。

特に上場をしている会社は、
四半期ごとの業績を開示しなければならないため、
無理を重ねて買い続けることになります。

マネーがうまく回転し
売買が活発なうちはうまく行きますが、
資金が止まり不動産価格が下落して
市場が停滞期に陥ると歯車が逆回転を始め、
あっという間に業況が悪化する事態となります。

これは、新築マンションを供給し続けなければならない
マンションデベロッパーも同じです。

「止まったら倒れる」
自転車と同じで、
ひたすらこぎ続けるしかない。

「高いから買うのを止めてしばらく様子を見よう」は
許されないわけです。

株の世界では
下げ相場でも儲けることができますが、
不動産の場合は
下げ相場で儲かる方法はありません。


相場の格言に
『休むも相場』というのがありますが、
不動産ファンドやマンションデベは休むことは許されず、
結局
行き着くとこまで行ってしまう結果になってしまうわけです。


(『住宅新報』2010/3/2号の記事を
 参考にさせていただきました。)



       株式会社イー・エム・ピー
       代表取締役 中村嘉宏:談




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