特許権存続期間の調整規定の解釈(第5回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月08日更新

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特許権存続期間の調整規定の解釈(第5回)

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   米国特許判例紹介:特許権存続期間の調整規定の解釈
   〜延長期間の計算方法について明確な基準が判示される〜(第5回) 
   河野特許事務所 2010年3月25日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Wyeth and Elan Pharma International Limited,
              Plaintiffs- Appellees,
                 v.
               David J. Kappos,
               Defendant- Appellant.

 4.CAFCの判断
計算式は、
A遅延日+B遅延日−出願3年後のA遅延日−出願人による遅延日
である。
 CAFCは、米国特許法第154条(b)の規定に基づけば、B遅延は出願後3年経過後に開始するものであるから、重複した場合にA遅延またはB遅延のいずれか長い方を用いるUSPTOの計算方法は誤りであると判示した。

 参考図2はA保証及びB保証を示す説明図である。




参考図2 A保証及びB保証を示す説明図


 A遅延は、USPTOの遅延により、サブパラグラフ(i)-(iv)に規定する期限のいずれか一つに合致した場合に開始する。そして、USPTOの遅延停止の措置がとられた場合に終了する。例えば、ファーストOAは14月以内に通知すべき旨規定されているが、14月を超えた場合にA遅延期間は開始し、その後ファーストOAが通知された時点で終了する。参考図1の上段に示すように、A遅延はUSPTOが特定された期限を経過した日から開始する。

 一方B遅延は、出願係属期間3年以下を保証するものである。参考図2の下側灰色矢印で示すとおり、B遅延は、USPTOが「合衆国における出願の実際の出願日から、3年以内に特許を発行」できなかった時から始まる。そして、B遅延は特許が発効された場合に終了する。このように、米国特許法第154条の規定に基づけば、B遅延の「遅延期間」は米国出願日から3年後に開始する。

 重複した際A遅延またはB遅延のいずれか長い方をのみを用いるUSPTOの計算方法では、A遅延が長いものとして採用された場合、本来出願3年経過後に初めて計数されるB遅延が、遅延が生じ得ない3年経過前から遅延期間が計数されることになる。CAFCはUSPTOの解釈では、明らかに米国特許法第154条の規定に反することから、原告が主張した計算方法が正しいと判示した。

すなわち、A遅延とB遅延とに重複がある場合、遅延期間は
A遅延日+B遅延日−出願から3年後のA遅延日−出願人による遅延日 となる。


                                   (第6回へ続く)

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