- 宮本 ゆかり
- マイウェイネットワーク
- ビジネススキル講師
対象:ビジネススキル
そのパン屋では、入り口のところに店員の男性が立っていて
「はい、いらっしゃいませー。どうぞ、ただいまおいしいパンが焼きあがってますよー」と、
お客を呼び込むトークをしていました。
これは一般的にどこでも見かけるような光景です。
私は特に気にも留めず、店内のパンを見ていました。
すると、60代ぐらいの男性客が入ってきて、いきなり、その店員に詰め寄ったのです。
「おまえなー、パン屋で何、でかい声だして宣伝してんだよ。
そんなこと言わないと、売れないのかー。 黙ってても、パンを買いたいヤツは買うだろ。
そんなに宣伝したけりゃ、店内放送でもかければいいじゃないかバカヤロウ・・・」
このおっさんは、すごい剣幕で男性店員を怒鳴りつけ、店員のほうは、怒鳴られている間、表情をこわばらせ、黙ってうつむいていました。
おっさんは、自分が客だと思って、横柄な態度をとっているのです。
〔結局、何も買わないから客じゃないけど〕
私は、店員の男性が気の毒で、また、このおっさんに腹がたって、思わずかばってあげようかと
喉まで言葉が出ていました・・・・が、引っ込めました。
このおっさんに文句を言ったって、火に油をそそぐようなものだと思ったからです。
でも、後から反省しました。
たしかに、おっさんに向かって
「そういうひどい言い方はないでしょう。商売をするなら、この程度の掛け声をするのは当たり前だし、活気があっていいじゃないですかー」
というのは、火に油かもしれない。
でも、その時、私が店員さんに向かってニコッと笑い、
「あら、このパンおいしそうですねー。何が入っているのか教えてもらえますかー?」と言って、
気まずい雰囲気をさえぎることはできたな・・・と思ったのです。
ウン。今度からはその手でいこう。
最近、日本ではたまに、こういう光景を見かけます。
駅員に対して乗客が詰め寄ったり、店員に文句を言ったり・・・。
まるで自分の日頃の鬱憤を、不可抗力の人にぶつけているかのように・・・。
言われたほうの人は、仕事とはいえ、どれだけ傷つくでしょう。
〔もしかしたら、今度は、自分が客の立場で別の店員に言ったりして〕
いやだ、いやだ・・・こんな連鎖は断ち切ってもらいたいものです。