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〜実用新型特許権の有効活用〜(第4回)
河野特許事務所 2009年2月8日 執筆者:弁理士 河野 英仁
泉株式会社(日本)
原告-被上訴人
v.
広州美視有限公司等
被告-上訴人
参考図4 763特許の図3
被告はロック機構8の具体的な構成が相違し、イ号製品は請求項5または12の技術的範囲に属さないと主張したが、北京市第一中級人民法院は、イ号製品が請求項5または12の全ての技術的特徴を備えるとして権利侵害を認め、被告Aに対しイ号製品の製造・販売の即時停止、被告Bに対し販売の即時停止を命じた。また、北京市第一中級人民法院は、原告の経済的損失及び合理的支出として12万元(約170万円)を支払うよう命じた。被告Aはこれを不服として北京市高級人民法院へ上訴した。
3.人民法院での争点
争点1:権利の有効性はどのように判断するか?
実用新型特許は無審査で登録されるため、無効理由を含む場合が多い。訴訟において権利の有効性はどのように判断されるか、検索報告はどのように用いられるか、また、審理中に特許無効の主張が可能か否か問題となった。
争点2:イ号製品は技術的範囲に属するか?
イ号製品が請求項に記載の全ての技術的特徴を備える場合、特許権侵害が成立する。被告Aは、権利範囲は図5(参考図5参照)に記載した形態に限定解釈されると主張した。人民法院が実用新型特許に係る権利範囲をどのように解釈するかが問題となった。
参考図5 763特許の図5
争点3:請求項の一部が無効となった場合、損害賠償額は減額されるか?
本事件では第1審である中級人民法院において、請求項5及び12の実用新型特許権侵害が認められ、損害賠償額として12万元(約170万円)が認定された。第2審である高級人民法院は、請求項5が無効決定を受けた事から、請求項12についてのみ実用新型特許権侵害を認めた。この場合、対象となる請求項数が減ったことから、損害賠償額も減額すべきか否かが問題となった。
(第5回へ続く)
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