- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
警察に逮捕されるようなことのない一般市民の皆さんは、たとえいくら厳しく追求されたとしても、自分に不利でしかも記憶に反することは認めないだろうと思われるでしょう。
しかし、過去多くの冤罪事件の記録を読むと、明らかに真実と異なる自白が大量に見られます。それも意志の弱い人間などに限られません。そのような経験からみると、この事件でF運転手の言うような取調べがあり、その結果として身に覚えのない罪を認めたとしても少しもおかしくないと私は思います。もちろんこれはF運転手の言い分であって、警察側は認めていません。
このように自白の信用性が問題になる事件では、必ずといっていいくらい、当事者の言い分が対立します。しかし、日本では取調べは密室で行われ、弁護士の立ち会いは認められず、録音・録画もされませんので、どちらの言い分が真実なのかを判定する客観的証拠はありません。これは早く改善した方がよいと思うのは私だけではないでしょう。
録音・録画をすることによって、当事者の言い分を客観的に裏付けることができるようになることは、適正な取調べをしているはずの警察・検察にとっても本来ならば悪くない話であるはずです。
(次回へ続く)