- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
職業柄、どうしても建物に目が行ってしまうが、普通の人なら気がつかない様なところに結構、面白いものがある。今日からはじまる新シリーズ「建築散歩」は、建築を専門としている人間の目を通して、世の中を見てみる、という企画である。
さて、今回はたまたま上棟の日に通りかかった住友林業の家。
この家の特徴は何と言っても「クロスパネル(きづれパネル)」。
小幅板を斜め45度で格子状に張り合わせた耐力面材である。
これまでは製材しても使い道が難しかった丸太外周部の背板や小径材の有効活用することで、国産材の利用拡大に貢献しているのがエライ。
このクロスパネルは軽くて丈夫で、通常使用されている構造用合板(厚さ9ミリメートル)よりも面剛性があるということだ。
しかし、耐力面材を求めるだけの話しなら、わざわざこんなパネルを作る必要はない。透湿抵抗の大きな合板を耐力面材にすると内部結露の危険性が高く、これまで随分クレームがあったのかもしれない。そこで、何とか透湿性があって面剛性もある、という一見矛盾する様な問題に応えたのが、このクロスパネルのエライところである。
ハウスメーカーでもその中枢の開発部署にはなかなか優秀な人もいる様だ。
ただ、これでどの位の気密性能が取れるのか?
相変わらず床下は外部と考えている芸のない土台パッキン、、
デザインを売りにできないメーカーハウスは、如何にクレームの少ない家をローコストで造るか、その辺が勝負というところかな?