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〜新規性判断とcomprisingの関係〜(第1回)
河野特許事務所 2009年12月16日 執筆者:弁理士 河野 英仁
In Re Robert Skvorecz
1.概要
米国におけるクレームは一般に、(1)前文(preamble)+(2)移行部+(3)各構成要件の列挙という形で記載される。(2)の移行部にはcomprising(を含む)が多用される。移行部にcomprisingを記載した場合、イ号製品がクレームの構成要件に加えて他の構成要件を含んでいても特許権侵害が成立する*1。例えば、クレームの構成要件がA,B及びCであり、イ号製品がA,B,C及びDである場合、特許権侵害が成立する。
一方、移行部にconsisting of(だけからなる)を用いた場合、権利範囲は列挙された構成要件(A,B,及びC)のみに限定される。上述したイ号製品は構成要件Dを更に備えるため特許権侵害とならない。
本事件において審判部はcomprisingの上述した解釈を新規性(米国特許法第102条)の判断に適用した。クレームは各ワイヤ脚にオフセットが設けられている点を特徴とするところ、先行技術は一つのワイヤ脚にはオフセットがなく、他のワイヤ脚にオフセットが設けられているというものであった。
審判部は、クレームはcomprising形式で記載されており、オフセットのないワイヤ脚も含む可能性が有り、そうとすれば先行技術からクレームに係る発明は予期できると判断した。CAFCは審判部がなした当該comprisingの解釈には誤りがあると判断した。
(第2回へ続く)
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