- 宮本 ゆかり
- マイウェイネットワーク
- ビジネススキル講師
対象:ビジネススキル
そこでよく耳にする日系企業の悩みは、「中国ではなかなか売掛金が回収できない」という話。
これは多くの日系企業が抱える共通の問題です。
ご存知のとおり、日本の商習慣では支払い条件が決まっていて、ほとんどの会社はこのルールに則って代金を支払います。
よほど資金繰りに行き詰っている場合は、例外的に支払いが遅れる場合もありますが、まともな会社であれば、事前に相談の連絡も来ます。
ところが、中国の企業は、売り手が黙っていれば、いつまでたっても支払わないのです。
しつこく、しつこく取り立ての電話を繰り返したり、時には相手の会社まで押しかけないと代金を払ってくれない。
これは、ある電子部品商社の社長さんから聞いた話です。
「中国国内では有名な家電メーカーであっても、なかなか払いませんよ。
彼らは、銀行にお金を置いておけば利子がつくから、出したがらないのです。
なるべく遅らそうとします。
ある時など、現金じゃなく、冷蔵庫が100台送られてきて迷惑したこともありました」
(↑これで、ツケを支払ったことにしろ、っていう意味か?)
ですから、中国に進出する多くの日系企業は、ビジネスは拡大したいけれど、売掛金の回収作業に疲れ果ててしまいます。
そして、結局は約束を守ってくれる日系企業間だけのマーケットで、こじまんりした取り引きをしているか、よほど信用のおけるわずかなローカル系代理店を通して商売をしているのが現実なのです。
一方で政府機関は、「両国の経済発展のため、やれ企業誘致だ、投資だ」と躍起になっていますが、そういう理想が実を結ぶ前提には、『誠実に商売をやる』という基本が不可欠。
それなくして商売は成り立たないのです。
結局、どんな立派な発展を目指すにも、根底には人間の倫理・道徳に支えられた信用がないと、前へ進まないのです。
信用を築く方法は実にシンプルなこと。
・約束は守る
・嘘はつかない
・人の迷惑になることはやらない
これって、家庭でお母さんが子どもに教えることでしょう?
その教えを受けた子どもが、お母さんの言いつけを守った大人になればいいだけです。
そんな大人が増えれば、ビジネスだってどれほど健全に拡大することか・・・。
国際都市上海の経済の最前線で、“お母さん”の意義と価値の偉大さを、改めて実感した瞬間でした。