「大きな木の下の家」の断熱計画 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家
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「大きな木の下の家」の断熱計画

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設計の作法 大きな木の下の家
今日は「大きな木の下の家」の断熱計画についてお話ししましょう。

この家は、私の「大地に還る家」の構想に賛同して下さったお客様の家なので、

1)「高気密・高断熱」後の断熱法として私が提唱している「透湿断熱工法」を採用している。
これは、私がいつも説明している様に、これまでの高気密・高断熱が雨合羽だったとすれば、ダウンジャケットの様に湿気を通してしまう工法である。
 高気密・高断熱では、気密シート(面材)により、湿気が壁体内に侵入する事を防いで、内部結露の防止を図っているが、この透湿断熱工法は透湿抵抗理論に基づいて、内部結露を起こさせずに室内で発生した水蒸気を壁体に透過させてしまう工法である。

具体的には、この家の外壁では、セルロースファイバーとケナボードSという面材を用いることで、この性能を持たせている。

2)できるだけ合板を用いない。
これは、上記の通り、透湿抵抗の大きな合板を用いないで、できるだけ家全体で湿気を透過することを意図したものだが、今回は、意匠的・構造的理由で化粧垂木の上にラーチ合板を用いて、屋根面の水平剛性を持たせた意匠としているので、屋根面は、ネオマの外張り断熱となっている。

また、ベタ基礎の土間上にはスタイロエースを敷き、その上に床下暖冷房用の温水パイプを張り巡らせ、その上に80mmのコンクリートを打ち、蓄熱体としている。

即ち、この家では3種類の断熱材が使われている。

ネオマとスタイロの使い分けの理由は、
まず、フェノールフォーム(ネオマ)以外の発泡プラ系断熱材は、経時劣化が大きく、5年で断熱性能が20%ほど落ちてしまうので、屋根面にはネオマを使用している。
 土間にスタイロを使用しているのは、ネオマは他の発泡プラ系に比べて吸水性があるためだが、スタイロの経時劣化については、コンクリートでサンドイッチ状態となるので外気に触れなく、劣化を抑えることができる。
(経時劣化というのは、発泡材の中の断熱効果ガスが空気と入れ替わることでおこる)

 この様に、使用する断熱材の特性を活かして、適材適所に用いることが必要であるのだが、外断熱が流行ると、すぐにメーカーの仕様を鵜呑みにして、5年で効かなくなる断熱住宅に喜んでいる人がなんと多いことか!!