今回のコラムは最近急増している相続トラブルの対策についてのお話です。
相続というと、「縁起でもない」とか「そんな資産がないので、うちには関係ない」と思っている人も多いかもしれませんね。
でも、残念ながら「相続」は避けて通ることができない事柄です。
人は必ず亡くなってしまいます。
死んでしまえば、その人自身は何の問題もないかもしれません。
ところが、残された家族にとっては、悲しみにくれる中、日ごろ考えてもみなかったようなさまざまなことをしなければならず、またお金にまつわるさまざまな問題が起こる可能性があります。
私のお客様でも、「相続税」を気にされる方はいらっしゃいます。
ところが、現在の日本の税制においては、相続税を払う人の割合は、5%程度しかいないのが現状。
相続税を払う必要がないから、「相続」について考えなくていいと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、その考え方は非常に危険です。
なぜなら、相続が起これば、相続人で財産を分けなければいけないからです。
この財産の分け方で問題が生じやすいわけです。
民法では、法定相続人と法定相続割合というのが決まっていますので、相続財産が預金や金融商品などの貯蓄だけならば、法定相続割合で財産を分けることができますので、問題は起こらないのかもしれません。
ところが、日本人の家計資産の60%以上が、分けることが難しい住宅や宅地などの不動産です。
このことが、相続問題を引き起こす最大の原因になっています。
相続割合通りに分けることができない場合、話し合いで財産分けするのは簡単ではありません。
誰かが多くなれば、誰かが少なくなる。仲がよければよいほど、お金に関わることだけに、お互い気持ちがよいものではありません。
お互いが遠慮しあっていれば決まるものも決まりませんし、妥協して財産分けされたとしても、気持ちの奥の方ではしこりが残ったりします。
仮に、子供同士、兄弟姉妹同士ではうまく話しがついたとしても、血縁外の配偶者の気持ちは別物だったりします。
子供の配偶者は相続人ではありませんので、相続する権利はないのですが、実際に夫婦で財産分けの話になった時に、「なぜ、うちは法定相続分よりも少ないの?」という素朴な疑問に答えることは難しいかもしれません。
6割以上が不動産であるという日本人の家計資産の状況を考えれば、相続が起こってしまってから対策を考えると問題が生じやすいわけですから、起こる前に対策を打っておくにこしたことはありません。
では、相続でもめないために、より円満に相続を乗り切るにはどうすればいいか。
それは、以下の2点が重要だと思います。
1.相続が起こることを前提にした「話し合い」をしっかりすること。
2.相続において実際に苦労することになる受取人(=相続人)の立場になって、財産を残す人(=被相続人)が「遺言」を書き残すこと。
次回以降のコラムで、具体的な相続争いになった事例を取り上げて、どうすれば、争わずに円滑に相続が乗り切れるのかをお話させていただきます。