- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
では、A君の検察官に対する供述はどのようなものであったでしょうか。
「B君(事件の被害者)とは同じ組で仲良しの友達で、幼稚園に行く時はB君が僕の家に迎えに来てくれるのです。この日もB君が僕の家に呼びに来たので二人で歩いて行ったのです。そして交差点を渡ろうと赤信号だったので待ったのです。信号が青になったので僕がB君より先に渡ったのです。僕の後から渡ってきたB君がダンプにぶつかったのです。」
このように、A君は、はっきりと青信号で横断したと供述しています。
しかし、A君の供述をそのまま信じて良いかどうかは簡単な問題ではありません。なぜなら、もしA君が赤信号で飛び出していたとすると、A君の後に続いて飛び出したB君はそのせいで事故に遭ってしまったということになります。自分の目の前で友達が轢かれただけでも大変な動揺でしょうが、もし万一それが自分のせいかもしれないとなったら、大人でさえも恐ろしくなって、真実を語るのをためらうのではないでしょうか。ましてわずか6歳の幼児ですから、自分のせいで友達が死んだとは絶対に認めたくないでしょう。
そこで、私はA君の供述はかなり慎重に検討してみないといけないと考えました。
(次回に続く)