- 谷澤 史子
- ミューズ・ブランディング・アカデミー(株) 代表取締役
- 経営コンサルタント
対象:ビジネススキル
http://www.villon.jp/
今年は太宰治生誕100年なのだそうで、太宰ブームが起きているようですね。
「太宰治作品に青春時代ハマった」という方は多いのではないでしょうか?
私もその一人です。
しかし、読めども読めども、好きになることはなく、
鈍い恐怖だけが残るのですが、また読んでしまうといった感じでした。
この中毒症状をストップさせたのが実は「ヴィヨンの妻」なのです。
正確に言うと、「ヴィヨンの妻」というのは短編集が集まった作品で
そこに収められている「トカトントン」という作品を読んだとき
大学受験勉強中に「トカトントン」という音が聞こえてきたらどうしよう!
という今まで太宰作品に感じていた鈍い恐怖感をはるかに超えた
恐怖を感じ、太宰作品を読むことを封印したのでした。
感動する、熱くなる、興奮する、恋をする、そういった感情が湧き出すと
どこからともなく「トカトントン」という音がして
急に全てが色あせて見えるといった内容でした。
さて、最近の若者は(こう書くとき非常に年をとった気分になります)
無気力無関心の傾向が強いと聞きます。
彼らも「トカトントン」の音が聞こえるのでしょうか?
「何をやってもうまくいかない!」
「夢見るだけ無駄だ!」
と「トカトントン」の呪文を唱え、
つぶやく自分たちも「トカトントン」の呪縛に
とらわれてしまっているように見えます。
小説の最後。
作家が「トカトントン」の音に苦しむファンに
聖書の一文を用いてこう助言します。
■身を殺して霊魂をころし得ぬ者どもを懼るな、
身と霊魂とをゲヘナにて滅し得る者をおそれよ
(これが高校時代にはよくわからなったのです。
解釈できていたらあんなに怖がることもなかったのでしょうに・・・)
今の私はこう解釈します。(正しいウンヌン別問題)
やる前から「どうせ何をやっても無駄」と諦めてはいけない。
全て出来ることを身を粉にしてやりきることが大事だ。
その時に「トカトントン」」の音は消えて、
思いがけない霹靂が起こる。
「霹靂」と言うだけでそれが「幸運」「成功」とは
言い切らないことが真実をついているなぁと思います。
身を粉にして最後に何に気がつくか。
■気づく
それこそが大切なのだと。
今日も皆さん、身を粉にしてお仕事・勉強がんばりましょう!
一日の終わりに今日の「気づき」を残し続ければ
いつかきっと素敵な
「晴天の霹靂」が見えることでしょう!