方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない5 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない5

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米国特許判例紹介:方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない
   〜米国特許法第271条(f)に対する大法廷判決〜(第5回) 
   河野特許事務所 2009年12月4日 執筆者:弁理士  河野 英仁

               Cardiac Pacemakers, Inc., et al.,
              Plaintiffs- Appellants,
                 v.
               St. Jude Medical, Inc., et al.,
               Defendants-Cross Appellants.



 4.CAFC大法廷の判断
方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない
 CAFC大法廷は、方法クレームに米国特許法第271条(f)が適用されるとした地裁の判決を無効とする判決をなした。

 米国特許法第271条(f)は重要な条文であり、数々の事件においてその解釈が争われている*13。ただし、主要判決は装置クレームに対する法解釈を示すのみである。方法クレームに対する米国特許法第271条(f)の適用に関しては、CAFCが2005年に判決したUnion Carbide事件*14が参考となる。

 Union Carbide事件の概要を説明する。原告であるUnion Carbide社はU.S. Patent No. 4,916,243 (以下243特許という)を所有している。243特許は触媒を用いてエチレンオキシドを生成する方法をクレームしている。一方被告であるShell社は外国で当該方法を実施すべく、当該方法に用いる触媒を米国外へ輸出していた。

 Union Carbide社はこの触媒を米国外へ輸出する行為は、米国特許法第271条(f)のもと方法クレームの侵害に該当すると主張した。CAFCは、当該触媒は方法クレームを外国で実施するための構成部品(components)に該当し、この触媒を外国へ供給(supply)する行為は、米国特許法第271条(f)のもと方法クレームの侵害に該当すると判示した。

 C社はUnion Carbide事件における判例、及び、米国特許法第101条の規定に基づき、米国特許法第271条(f)は方法クレームにも適用されるべきであると主張した。

 米国特許法第101条*15は以下のとおり規定している。
 第101条 発明は特許を受けることができる
 新規かつ有用な方法,機械,製造物若しくは組成物,又はそれについての新規かつ有用な改良を発明又は発見した者は,本法の定める条件及び要件に従って,それについての特許を取得することができる。

 C社は米国特許法第101条には「発明」の定義がなされており、同法には「発明」として「方法」と「機械」とが同列で規定されていることから、米国特許法第271条(f)における「特許発明」も同様に「方法」と「装置」とが含まれると主張した。

 CAFC大法廷はC社の当該主張を退けた。CAFC大法廷は、法解釈はそのように簡単なものでなく、議会がなした立法過程をも考慮して分析しなければならないと述べた。

 議会は、Deepsouth事件における判示事項を覆す意図を持って米国特許法第271条(f)を制定した。Deepsouth事件はエビの背わた抜き装置を取り扱っており、当該装置の「物理的構成部品」の輸出が問題となった。議会は特許権侵害を回避すべく未完成の状態で構成部品群を輸出するという法律の抜け穴を埋めるべく、米国特許法第271条(f)を制定したのである。このように議会の立法趣旨からすれば、議会は方法発明を保護する意図を持っていたとはいえない。

 以上のことから、CAFC大法廷は方法クレームに米国特許法第271条(f)が適用されないと結論づけた。

5.結論
CAFCは、米国特許法第271条(f)を適用し特許権侵害が方法クレームに成立するとした地裁の判決を無効とした。


6.コメント
Union Carbide事件においてなされた判示事項はCAFC大法廷判決により覆され、方法クレームに対しては米国特許法第271条(f)が適用されない点が明らかになった。ただし方法クレームの他に装置クレームが存在していれば、装置の輸出により直接侵害を米国特許法第271条(a)により問うことができ、また完成品をバラバラにして構成部品を輸出する行為に対しても米国特許法第271条(f)を依然として主張することができる。

                                (第6回へ続く)

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