日本経済10月号 - 保険選び - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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対象:保険設計・保険見直し

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日本経済10月号

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  1. マネー
  2. 保険設計・保険見直し
  3. 保険選び
やさしい経済の話し 日本経済の話し

こう着状態が続く


日本の経済はやや踊り場的状況である。各経済指標も目立った大きな変化にはなっていない。政権後退から1ヶ月たって民主党は精力的にマニフェスト実行のために動き出している。民主党は、政府支出を公共事業から個人に回し国内需要を拡大しようとしているが、その効果がどのような形で出てくるのか、また、公共事業を大きく削減することによる雇用の問題や産業構造の変更をどのように具体的にやっていくのかが焦点となっていくであろう。

9月の月例経済報告では、2ヶ月連続で経済基調判断が据え置かれた。しかし、「雇用悪化を懸念している」と過去最高水準の失業率が今後も大きな問題になると懸念を示した。
8月の完全失業率は5.5%と前月の5.7%より低下したが、過去最高の水準である。有効求人倍率も0.42倍(前月同様)と就職を目指すものにとっては異常な狭き門となっている。いずれの数字も前月比で同様かやや低下していることから、最悪期を脱したとの声も聞かれるが、雇用の過剰感は以前強く、回復にはかなりの時間を要すると考えられる。
また、現在進められている民主党による公共工事の差し止めにより、多くの失業者が発生することになる。これらの失業者をどのようにして他の産業分野に配置転換していくか、これは民主党の大きな課題でもある。

公共事業削減のマイナス効果と子育て手当てなどのプラス効果


民主党はマニフェストに掲げたとおり、2009年度の補正予算約15兆円のうち、無駄な公共工事などを差し止めることによって、3兆円を削減し、来期以降の予算編成に回そうと全力を尽くしている。来期からは、子育て手当て、高速道路の無料化、中小企業の法人税の引き下げなどが実施され、内需を
刺激する目論見である。このように、民主党の政策は景気に対しては、プラスとマイナスの両面を持ち合わせており、結果がどちらに傾くのかよく見ておく必要がある。

さて、景気全体に目をやると、9月の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DIが前期比+15ポイントと2四半期連続で改善した。一方、非製造業は小幅の増加にとどまり製造業と対照的であった(詳細別紙ご参照)。

8月の鉱工業生産は、前月比+1.9%と6ヶ月連続での増加となった。輸送機械工業、電子部品・デバイス工業などに続き、今まで回復が遅れていた一般機械も4ヶ月連続の増産となっている。
先行指標である機械受注は、中国をはじめとする外需が順調に拡大してきているものの、内需を見ると設備投資意欲は依然として低く減少傾向が続いている。このようなことから鉱工業生産についても自動車や電化製品での政策効果がはがれてくるころが本当の正面場といえる。
その他の指標を見ると、住宅市場の低迷が目立っている。8月の住宅着工件数は67.6万戸と過去最低水準を更新した。一方、9月の新車販売台数は前年比+9.2%と2ヶ月連続でのプラスとなっている(もちろんこれは政府による販売促進策が効果を表しているものである)

このように、現状は景気刺激策が効果を現し、製造業を中心に下げ止まり、上昇に転じてはいるものの、これから先の行方は全くはっきりとはせず、二番底になるのか、緩やかな回復が続くのかは民主党の政治手腕によるところが大きくなりそうでる。