- 佐藤 昭一
- NICECHOICE 佐藤税理士事務所
- 東京都
- 税理士
対象:税金
住宅資金贈与の非課税枠500万円ですが、10月22日の日経新聞に来年度の税制改正で国土交通省がこれを2,000万円程度まで広げることを税制改正要望に盛込む検討に入ったと1面に記載されていました。
ご覧になった方も多いと思いますので、今回はこの制度がもし来年度の税制改正で実現した場合に現時点で取れるべき対策について解説したいと思います。
実際に対象となる方は少ないかも知れませんが、税制改正によって対策が変化する実例として知っていただければと思います。
まず、おさらいです。
平成21年に急遽できた住宅資金贈与の非課税500万円は、住宅の購入や増改築の資金を父母や祖父母など直系尊属から贈与を受け、その贈与を受けた資金で購入した住宅に一定の日までに住み始めた場合には、贈与を受けた金額のうち平成21年と22年で通算して500万円まで非課税にしますという特例です。
今回の国土交通省の税制改正要望は、この500万円の枠を2,000万円まで広げてもらえないだろうかということです。
さて、もし仮にこの要望が通って平成22年から住宅資金贈与が2,000万円まで非課税となる場合に、現時点で取れそうな対策をお伝えします。
まず、贈与の基本的な考え方を説明します。
贈与税は、贈与のあった日の属する年の贈与税の法律が適用されます。
平成21年に住宅資金贈与をした場合には、贈与税非課税枠は500万円です。
平成22年に住宅資金贈与をした場合には、贈与税非課税枠は2,000万円になるかもしれません。
そして、いずれも贈与を受けた資金を住宅購入のため又は増改築のために使用しないと非課税になりません。
従って、平成21年に住宅購入資金の支払期日がきてしまうもの(平成21年に最終代金の決済を行うもの)は、その支払日前に贈与を受けておく必要があるため、残念ながら平成21年の贈与となってしまいます。
ところが、平成22年に住宅購入資金の支払期日がくるものについては、贈与をする時期を平成21年から平成22年の住宅購入資金の支払日までにずらすだけで、今回の非課税枠の増加の恩恵を受けることが可能となります。
500万まで非課税だったのが2,000万円まで非課税となれば、大型の贈与も可能となります。
また、500万円を超える部分について、相続時精算課税を使用する予定だった方も相続時精算課税を使用しないで済むか、又は使用する金額を少なくすることが可能です。
従いまして、これから住宅資金贈与を受けることを検討されていて、住宅の代金の決済が平成22年でも大丈夫な場合には、12月の税制改正大綱の発表を待って贈与税の非課税枠が増えるかどうかを見届けてから、贈与の時期を決めるという対策が可能となります。
12月に最終代金の決済を予定されていて、500万円超の贈与をこれから受ける予定の方は、税制改正の行方を見守って、来年1月に最終代金の決済を遅らせるという交渉も要検討です。
住宅資金贈与の非課税枠は、デメリットのない制度になりますので、活用できる方は有効的に活用するようにして下さい。
佐藤税理士事務所からのお知らせです。
無料レポート完成しました。
すでに累計で1,000部以上配布した実績のある佐藤税理士事務所の無料レポートの平成22年版が完成しました。
住宅の税制について、よく聞かれる相談項目を5つにまとめてQ&A方式で解説をしています。
無料レポートのご請求は「マイホームの税金」のHP上よりお申し込み下さい。
無料レポート5つの相談事例から学ぶマイホームの税金
このコラムに類似したコラム
無料相談会引き続き行っていきます。 佐藤 昭一 - 税理士(2010/11/05 13:29)
延長された相続時精算課税住宅取得時の年齢条件緩和 佐藤 昭一 - 税理士(2010/11/05 13:23)
贈与税がかかる財産の例(親子間の住宅資金の貸借) 佐藤 昭一 - 税理士(2010/11/05 11:17)
贈与税がかかる財産の例(みなし取得財産) 佐藤 昭一 - 税理士(2010/11/05 11:16)
住宅資金贈与500万円非課税の適用のための計算明細書 佐藤 昭一 - 税理士(2010/11/05 11:11)