方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない3 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない3

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米国特許判例紹介:方法クレームに米国特許法第271条(f)は適用されない
   〜米国特許法第271条(f)に対する大法廷判決〜(第3回) 
   河野特許事務所 2009年11月27日 執筆者:弁理士  河野 英仁

               Cardiac Pacemakers, Inc., et al.,
              Plaintiffs- Appellants,
                 v.
               St. Jude Medical, Inc., et al.,
               Defendants-Cross Appellants.



 クレーム1〜9までが方法クレームであり、クレーム10〜37までが装置クレームである。争点となったクレーム4*2は以下のとおりである。なお、クレーム4は独立クレーム1の従属クレームである。

1.複数の不整脈を検出し、検出した不整脈を治療すべく単一または複数モードの操作を実行するようプログラムされた植込み型心臓刺激装置を用い、前記操作モードに対応する心臓刺激方法であって以下を含む、
(a)複数の心臓の状態の中から心臓状態を決定し、
(b)植込み型心臓刺激装置の少なくとも一つの操作モードを選択し、当該操作は前記決定した状態に対応するイベントの固有シーケンスを含み、
(c)前記植込み型心臓刺激装置の少なくとも一つの操作モードを実行し、これにより前記決定した心臓状態を治療する。
4. クレーム1の方法であって、前記植込み型心臓刺激装置の少なくとも一つの操作モードは電気的除細動を含む。

 1996年C社は288特許の侵害であるとしてSt. Jude Medical社等(以下、S社という)をインディアナ州連邦地方裁判所へ提訴した。S社もICD(以下、イ号製品という)を製造及び販売しており、一部を米国外へ輸出している。S社は288特許に係る発明は自明(米国特許法第103条*3)であり、288特許は無効であると主張した。さらにS社はクレーム4の「決定ステップ(クレーム1の(a))」がMeans Plus Functionクレーム(米国特許法第102条パラグラフ6*4)であると主張し、特許権の侵害にはあたらないと主張した。すなわち、決定ステップは実施例に記載の構成及びその均等物に限定解釈され、特許権侵害に該当しないとの主張をなした。地裁はS社の主張を認め、288特許は自明、また、特許権侵害は成立しないとの判決をなした*5。

 C社は地裁の決定を不服としてCAFCへ控訴した。CAFCは、288特許は自明でなく、特許が無効であるとした地裁の判断を無効とする判決をなした。さらにCAFCは、またクレーム4がMeans Plus Functionクレームであると判断した地裁の判断を無効とする判決をなした*6。

 2度目の地裁における審理において、地裁はイ号製品の使用が方法クレーム4の特許権侵害であると判断した。なお、C社は装置クレームに対する特許権侵害の主張を取り下げた。

 損害賠償額の認定において、C社はS社が米国外へ輸出したイ号製品をも損害額に加えるべく、域外適用を規定する米国特許法第271条(f)を主張した。地裁はクレーム4を外国で実施すべくイ号製品を輸出したS社の行為は米国特許法第271条(f)のもと、特許権侵害に該当するとの判決をなした*7。

 S社はCAFCへ交差上訴*8した。CAFCはイ号製品の輸出行為は方法クレーム4の特許権侵害とする地裁の判断を支持した*9。S社はこの点についてCAFC大法廷での再審理の申し立てを行い、CAFC大法廷は当該申し立てを受理した*10。                                (第4回へ続く)

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