クレ-ムの文言解釈判断時は製品の製造時か,販売時か6 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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クレ-ムの文言解釈判断時は製品の製造時か,販売時か6

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米国特許判例紹介:クレームの文言解釈判断時はイ号製品の製造時か、販売時か
   〜販売済イ号製品がクレーム文言に合致しない場合の判断〜(第6回) 
   河野特許事務所 2009年11月10日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Gemtron Corp.,
              Plaintiff- Appellee,
                v.
               Saint-Gobain Corp.,
               Defendant-Appellant.


4.CAFCの判断
争点1:文言解釈の判断時は製造時である
 CAFCはクレーム及び明細書の記載を総合的に勘案し、クレームの文言解釈の判断時は製造時であると判断し、製造時に「比較的弾性のある」枠を有するイ号棚の特許権侵害を認定した。

 CAFCはPhillips最高裁判決*3で判示されたとおり、クレーム及び明細書の記載を総合的に勘案して文言解釈を行った。クレーム23は、「終端部」が「いつでも」、「いかなる温度においても」、または「冷蔵庫内で使用する際に」比較的弾性を有しなければならないとは要求しておらず、温度条件も限定していない。

 クレームは、
 「一時的に屈折し、その後ガラスの前端・後端の一つを、ガラス端部受け溝にパチンと嵌め込むために跳ね返る比較的弾性のある終端部・・」
と記載している。CAFCはこの文言中、
 「一時的に屈折し、その後パチンと嵌め込むために跳ね返る」
 との記載は、枠の弾性が組み立て中にのみ存在すればよいことを示すものであると判断した。

 また明細書の先行技術欄及びSummary欄には先行技術における製造過程における問題点及び当該問題点を解決するために、「比較的弾性のある終端部」を設けたことが記載されている。すなわち、従来はガラスパネルを枠に取り付ける工程において接着剤を使用しており、接着剤の使用に伴う工程増加及びコスト低減を目的として、573特許は「比較的弾性のある終端部」を採用したのである。これは、製造時において枠の終端部が比較的弾性を有していればよいことを示すものである。また、明細書のいかなる部分にも「比較的弾性のある終端部」が他の機能を発揮するとは記載されていない。

 以上のことから、CAFCは文言解釈の判断時をイ号棚の製造時とし、製造時に弾性のある枠を有するイ号棚の特許権侵害を認めた。



                                   (第7回へ続く)

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