- 伊藤 健之
- ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
10年以上も前の本ですが、この時代観は「さすが」です。
印象の残った言葉があるので、紹介します。
(五木寛之 「他力」より)
遺伝子というのは、4つの要素が個体それぞれの順列組み合わせで並んだ長い二重螺旋構造になって
いる。その中に、絶対必要であると思われる遺伝子とともに、こんなものがなぜ存在しているのかも
よくわからない、雑然として不規則な遺伝子や重複した内容の遺伝子もたくさん見られるという。
遺伝子の構造が解明された初期のころは、そういう意味不明瞭な遺伝子のことを「ジャンク」と呼ん
でいたようです。
しかし、よく調べてみると、そういうジャンクが数多くあることにより、遺伝子のコピーのミスが生
じるわけです。コピーミスが生じた結果、突然変異が起こったりする。突然変異によって変わった種が誕生し、その種が従来の種より適応性が高い場合には、適者生存で生き延びていくわけです。
じつは、この突然変異の積み重ねが進化ということらしい。進化の歴史は、突然変異の歴史なの
です。ということは、乱雑で不規則な遺伝子の思いがけないミスから生じた結果が、人間の進化を生んでいると言っていい。
逆に考えると、もしも、整然として必要以上のものが何もない組み合わせの遺伝子だけだったら、
人間は進化しなかったということです。
ジャンクにはそうした存在の意味があるのです。
昔から「無用の用」と言いますが、一見無用に見えるもの、必要でないように見えるものが、
じつはものすごく大きな意味を持ち、宇宙の意志とも言えるような意味をはらんでいるのです。
最近の合理化には、そこに対する視点がありません。
矛盾は弁証法の母であると言いますが、矛盾とか無駄とか不必要とか、その種のものは人生において絶対に必要な要件であるということをぜひ考えてもらいたいのです。
(引用おわり)
私もよく「ばらつきを寛容する経営が必要です」と言ってますが、同じことだと思います。
米流マネジメントは、「人のばらつき」をも嫌います。
人間は、そもそも「ばらついて」いるものです。
数字を上げられない人間を「ジャンク」として排除し、働くひとを「標準化」しようとしたから、大きなカベにぶち当たっているんだと思います。
= MBA、ロジカルの「向こう側」へ =
■実現村ウェブサイト⇒http://www.jitsugenmura.jp/category/1339856.html