中小零細企業 × M&A 【5】 - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

後藤 義弘
代表取締役
社会保険労務士

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月19日更新

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中小零細企業 × M&A 【5】

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  1. 法人・ビジネス
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ビジネスモデル事例 M&A (組織再編)

3. A社リストラ案の問題点とX店再生可能性の検討


今回のA社リストラ案である不採算店舗Xの処分に関する主なデメリット及びリスクの所在を整理すると

 (1) 違法な解雇による紛争リスク
 (2) (1)回避のための逸失利益の補償
 (3) 売却(譲渡)先が見つからない
 (4) (3)の場合の時間経過に伴う損失の累積
 (5) 売却(譲渡)先が見つかっても相当低価格での売却を覚悟する必要がある
 (6) X店の既存顧客の流出 
 (7) 店舗閉鎖に付随するコストの発生
 (8) 退職金支払
 (9) 売却(譲渡)代金に対する「消費税」の負担

など経済性の問題点と大きな潜在的リスクの介在が確認できます。

仮に先の整理解雇の4要素を踏まえ(配置転換などの解雇を避けるプロセスを踏まず解雇に固執し)「解雇」を適法方向に誘導したとしても、少なくとも逸失利益相当額(*)の慰謝料を準備しなければならず、経済的損失は非常に大きなものとなります。 またX店(オープン後3年経過)の設備も比較的新しく経営資源としてまだ充分活用可能であり、売却先が見つからない場合のコストをかけてのスクラップはこれまたキャッシュの流出を伴いやはり不経済と言えます。

(*)今回のケースがストレートに訴訟もしくは労働審判などに発展した場合少なくとも6ヶ月〜1年分程度の損害賠償請求(労働審判/調停)が認められる可能性を考慮する必要があります。

同業界は顧客確保が技術者との信頼関係に依存する割合が大きく、店舗閉鎖により相当程度の顧客流出は避けられず顧客引継ぎにも限界があるものとみられます。
また店舗売却により営業譲渡が実現したとしても「営業権(暖簾)」を売却代金に加味できる可能性も低く、X店の経済的価値は高いものとは言えず、相当安価な取引となるものとみられます。

(次コラムへ続く)