- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
産業廃棄物処理委託の注意点(第7回目)
前回のコラムでは、「委託契約書の記載事項」について解説いたしました。
今回は、「抜けてはいけない契約書の内容」を解説します。
前回のコラムで、産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項の一つとして、
・産業廃棄物の処理料金
があることを解説しました。
「ガソリン代が高騰すれば、引取り料金が高くなるため、委託契約書では処理料金を定めたくない」というところが多いのですが、「処理料金」の場合は、廃棄物処理法で契約書に記載しなければならないと定められた事項ですので、必ず記載しなければなりません。
ただ、現実の商取引においては、一定の期間ごとに料金の細目が変わることはよくある話です。
「すぐに契約書の料金が変わるとわかっているのに、無理矢理契約書に金額を埋めなければならないのか!?」という疑問を持った方が多いと思います。
そのような場合は、契約書の「処理料金」の項目に、「料金の詳細については、別途、毎月覚書で締結する」などと記載し、委託契約書と覚書の両方を一緒に保存することをお奨めします。
これなら、契約書の書くべき内容を充たしながら、同時に現実の経済情勢にあわせた料金変更が可能となります。
このような対策を採らずに、「面倒くさいから」、あるいは「料金の詳細を契約書には書けないから」という理由で、委託契約書の「処理料金」の項目を空白のままにしておくと・・・
後日、不法投棄現場から、処理してもらったはずの廃棄物が発見され、排出事業者への責任追求が行われることもあります。
そうなると、「契約書に委託料金が書いていない」=「不法投棄を前提とした、法外に安い処理費用しか負担していなかった」という前提で、行政などから責任追及が行われることとなります。
最悪の場合、不法投棄現場からの廃棄物撤去費用の負担(数百万円から数千万円に及ぶことも!)が義務付けられた実例もあります。
通常の商取引の場合なら、料金を決めずに契約をすることは有り得ないはずです。
少しの注意で高額の撤去費用の負担を免れられるのですから、今すぐ契約書の中の「料金」をチェックしておいてください。
次回に続く。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」