中小零細企業 × M&A 【4】 - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

後藤 義弘
代表取締役
社会保険労務士

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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中小零細企業 × M&A 【4】

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ビジネスモデル事例 M&A (組織再編)
確かに、X店のある地域は同業店舗の激戦区であり供給過剰感は否めず、また人員整理の対象となるマネージャー以下X店従業員のモチベーションも明らかに他5店に比べ低く、同社オーナーはもはや「改善の余地なし」と判断し上のリストラ案の戦略的実行を構想します。 


2. 解雇問題への対応


同社リストラ案を実行する上でまず問題となるのが整理対象となる店舗の従業員の「解雇」です。

X店の解雇候補従業員はすべて長期雇用が期待される正社員であり解雇の規制を免れません。

今回の「解雇」はいわゆる「整理解雇」(*)の案件であり、判例法理から下の4つの要素を考慮し解雇の合理性を確保する必要がありますが、一方で会社全体の業績はむしろ堅調に推移しており、その要件の出発点となる 必要性 は決して高いとは言えず、仮に訴訟となり裁判所から今回のA社のリストラが高度な戦略的経営判断であると評価されたとしても、それ以外の要素(*)が全く考慮されておらず、結局このまま漫然とリストラ(整理解雇)を進めても合理性が確保できないまま違法な解雇と判断される(解雇が無効となる)可能性が高い状況です。

(*) 整理解雇の4要件(要素)

 (1) 経営上必要か?
 (2) 解雇を回避するための努力がなされているか?
 (3) 解雇候補者の選定に合理性があるか?
 (4) 解雇に際し誠実な交渉 ・ 説明義務が尽くされているか?

A社の場合、上の4つの要素のうち仮に(1)の必要性が認められたとしても、ご相談を受けた段階で(2)〜(4)が全く考慮・充足されておらず、整理解雇関連の判例の動向からもこのケースでの整理解雇の合理性はまず認められそうになく、「訴訟リスク」という大きな代償を負うことになります。

(次コラムへ続く)