民主党政権誕生による税制改正のゆくえ(2) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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民主党政権誕生による税制改正のゆくえ(2)

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税制改正 平成22年度税制改正
民主党政策集INDEX2009に基づいて民主党政権になったら税制が
どのように変わるのかを検討しているシリーズの2回目は、
「税・社会保障共通の番号の導入」
「納税者権利憲章の制定と更正期間制限の見直し」
の2点について検討したいと思います。
まず、それぞれについて民主党政策集INDEX2009に記載されている
文章を見ておこう。

「税・社会保障共通の番号の導入」
厳しい財政状況の中で国民生活の安定、社会の活力維持を実現するためには、
真に支援の必要な人を政府が的確に把握し、その人に合った必要な支援を
適時・適切に提供すると同時に、不要あるいは過度な社会保障の給付を
回避することが求められます。
このために不可欠となる、納税と社会保障給付に共通の番号を導入します。

「納税者権利憲章の制定と更正期間制限の見直し」
国民の納税者としての意識を高め、より強固な民主主義を構築していくための
第一歩として、確定申告を原則とし、給与所得者については年末調整も
選択できるという制度を導入します。
また、これを実現するにあたって、納税者の権利を明確にするために
「納税者権利憲章」を制定します。
納税者の権利を守るための具体的な改革として、納税額の更正等の期間制限が
課税庁からの更正と納税者からの修正で異なる点について見直していきます。
特に課税庁の増額更正(事後的な納税額の増額)の期間制限が5年であるのに
対して、納税者からの更正の請求(事後的な納税額の減額)の期間制限が
1年であることは納税者の理解を得られにくく、早急に見直しが必要です。


まず、「税・社会保障共通の番号の導入」については、自民党案も同様に
納税者番号制度の導入の必要性を繰り返し主張してきただけに、
導入されることは間違いあるまい。
また、現在の政府税調の最後の公表見解になるかもしれないスタディー
グループ報告(海外税制報告)においても、4つの柱のうちの1つとして
取り上げられており、具体的な工程表の作成段階にきているのかもしれません。
(SG報告については、8月30日の記事を参照して下さい。)

しかし、納税者番号制度には、つねにプライバシー保護の問題があり、
社民党、共産党は異論を唱えてきたところですね。
また、公務員の守秘義務との関係から、納税者番号と社会保障番号を
連動することには賛成ですが、住民基本台帳番号との連動には反対です。

徴税の効率を高め、また、消えた年金のような役人の責任逃れの結果が
招いた事態を防ぐためにも、納税者番号制度は必要なものであると思う。
年金改革の項で記載されている「社会保険庁廃止と歳入庁創設」により、
国税庁と社会保険庁の機能が統合されるため、納税者番号と社会保険番号は
連動させなければ意味がないんですね。
そもそも歳入庁創設によって、「1税と保険料を一体的に徴収し、未納・未加入
をなくす、2所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度
を導入する、3国税庁のもつノウハウを活用して適正な徴収と記録管理を実現する」
ことが検討されているところだ。


さて、次は「納税者権利憲章の制定と更正期間制限の見直し」の問題である。
これは、「納税者権利憲章」の問題と「更正期間」の問題とに分けて検討すべき
問題です。

「納税者権利憲章」の問題については、これまでも税の民主化を求める
グループを中心に建設的な議論が従来からなされてきました。
実際に、諸外国には「納税者権利憲章」が制定されている先進国が多く、
わが国の税制が遅れていると考えられても仕方がない状況でした。

詳しい先行研究として以下の本を紹介します。
石村耕治「先進諸国の納税者権利憲章−わが国税務行政手続の課題 (第2版)」
(中央経済社1996)
最新の研究というわけではありませんが、不公平税制の打破を目指していた
研究者や実務家の思いが伝わってくる名著です。
ご興味がある方は、ぜひご一読下さい。

また、国民の納税者意識の高揚を企図する手段として、国民皆申告制の
導入を考えているようだ。
現在は、給与所得者に対しては源泉徴収制度が用いられているため、
給与所得者の所得税は、会社が給与支払時に天引きすることになるから、
税引き後の給与しか受け取っていないんですね。
税額の計算も会社が年末調整で計算して、終わってしまいます。
給与所得者の意識は、給与総額から税金を払っているという意識はなく、
手取り額で考えがちで、自分が納税者であることさえ忘れがちです。
しかし、確定申告による納税を原則とすると、確定申告時に自分の懐から
税金を払うので、嫌でも税に対する厳しい目が育つでしょう。

なぜこれまで自民党政権が納税者憲章を制定せず、世界的には珍しいものに
なっている源泉徴収制度を維持してきたのか。
国民に納税者意識を忘れさせ、重税感を拭い去るためにあったと思います。

現実的には、今の確定申告のやり方(全員が1−12月の所得を2/16〜3/15の
間に申告をするやり方)であれば、税務署の機能はパンクするでしょう。
しかし、会社の決算のように決算期を決めることにより(私見としては、
誕生月の月末を決算日として、誕生月の2ヵ月後を申告期限とすることを
提案したい)、確定申告時期に個人の確定申告が集中することがないように
することで、税務署がパンクすることを回避できるのではないだろうか。


さらに、「更正期限」の問題もある。
かねてから、税理士会から改正要望を上げ続けていた論点である。
課税庁側の更正処分(税額の変更手続)は5年間可能なのに、納税者側から
納税額の減額を求める場合には、国税通則法23条に基づいた「更正の請求」
しかできず、その期限が法定申告期限からわずかに1年しかできないという
バランスを欠いているとしかいえないような状況でしたので、この改正は、
早急にお願いしたいところだ。

そもそも「更正の請求」というのは、納税者が税務署長に「私の税額が
払いすぎになっているので直して下さい」というお願いの文書である。
つまり、納税者は、払いすぎた税金を返してもらうには、税務署長に処分を
お願いしなければならないのだ。
法的には不当利得になっているにも関わらず、取りすぎた税金は納税者から
「返して欲しい」とお願いする書面を提出して、税務署長がそのための
行政処分を実行しなければ返さない、という制度になっているのだ。

せめて、更正処分のお願いではなく、一般の還付請求にできないものだろうか。

また、法定申告期限内1年という期間制限のため、申告期限が土日である
場合に、税理士がミスをしやすいのだ。
つまり、申告書の提出期限は、申告期限到来日が税務署の休業日に当たる場合、
休み明けの日が申告期限、税金の納付期限となることになっている一方で、
更正の請求の場合には、休み明けの日は法定申告期限後である以上、
休み前に更正の請求をしていなければアウトなんです。

実務的には嘆願書ベースで税務署長様のお慈悲に縋って更正処分をして
頂いておりますが、闘う税理士を標榜する私にとって実に屈辱的です。

税務調査で確認していくのが3年分であることが多いのですから、
せめて3年内、できれば税務署と同じ期間にして頂きたいが、それよりも
「法定」申告期限「内」ではなく、申告書と同様に、休み明けの日が
請求期限になるよう改正して頂きたいところですね。

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