渡邉美樹の超常思考 勝つまで戦う - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

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寺崎 芳紀
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(経営コンサルタント)
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閲覧数順 2024年04月18日更新

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渡邉美樹の超常思考 勝つまで戦う

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雑感 書評
久しぶりにオススメの本を紹介したいと思います。

ワタミの渡邉会長の最新本
「渡邉美樹の超常思考 勝つまで戦う」講談社BIZ(2009年7月)です。

はじめにに、渡辺氏がなぜ今、思考法の本を書いたのかが記されています。

いまの時代、私たちの社会全体が非常に大きな転換を否応なく迫られ、
曲がり角に立たされています。
その空気を肌でひしひしと感じながら、多くの人が人生における道標を
見失いかけて、途方に暮れている。
そんな状況のように思えます。
この時代を生き抜くために何が必要か?
私はまず、時代や社会の変化に惑わされることなく、みずからの中に不変の
「思考の軸」を確立することだと思います。
私は決して、時代や社会の変化を見越して、ニーズを先読みして、事業展開を
行ったわけではありません。
むしろ、時流や時代の見通しとは関係なく自分の頭で徹底的に考え抜き、
本当にやりたい仕事をやりたいように形づくってきた。
その結果なのです。
本書で、どのようにして私は私の「思考法」を形成していったか、いかにして
その思考を行動へと結び付けていったかを詳らかにしていきたいと思います。
また、「時代とともに変わる価値」と「時代を超えて変わらない価値」の違いが
どこにあるのか、そもそも私たちはどんな価値を指向して生きるべきなのかを、
考えてみたいと思います。(本書4ページ)

私が本書で注目したのは、次の4点ですね。
・若くしてハッピーリタイアは幸せか
・「ノウハウ」より「ノウホワイ」
・教えられるのはゴールへの道すじだけ
・夢を追うのに、遅すぎることはない

まず、若くしてハッピーリタイアは幸せか、として渡辺氏はこう記す。

本来、どんな仕事にも必ず、喜びを見いだすことはできるはずです。
仕事をするというのは、世の中に何かしらの価値を生み出すことなのですから、
それが誰か人のために役立っているという実感があれば、そこに喜びが生まれます。
私は、仕事の中にいかに喜びを見いだし、仕事を通じていかに自己実現を
果たしていくかというところに、人の幸せのカタチがあると思っています。
だから、仕事をお金を得るための道具だと考えたことはありません。
お金のほうが道具で、仕事は生きること、人生そのものです。
お金のためだけと割り切って仕事をしているのであれば、それは本当に
寂しい人生だと思います。(本書120-121ページ)

近年若年層から中年層に増えてきているハッピーリタイアの夢に対して、
渡辺氏は厳しい見解を示している。
自分がやりたい仕事をやりたいように、やりやすいように工夫して生きてきた
渡辺氏だからこそ、厳しい見方をするのかもしれません。
しかし、私も共感するところですが、仕事を楽しくできているときには
疲れも感じにくいし、充実しているんですよね。
やりたい仕事ではなかったとしたら、なぜやりたい仕事ができるよう
努力しないのでしょうか。
やりたい仕事をするための努力もなしに、これはやりたくないというのは、
怠慢と言われても仕方がないことではないでしょうか。


次に、「ノウハウ」よりも「ノウホワイ」では、こう記している。

人間は「こうすればいい」と思った瞬間に、そこで思考を止めてしまいます。
よく、いまの若い人はマニュアル世代だ、などといわれますが、たしかに
マニュアル通りに動くことに慣れきっているせいか、自分で考えようという
意識の薄い人が多い。
「どうすればいいのですか?」と聞きにやってきて、ノウハウを教えると、
「わかりました」で終わってしまいがちです。
そうではなくて、「どうするか」を教わったら、「なぜ、そうなの?」という
根本に対する疑問を持つべきなのです。
そこを自分の頭で考えるところから始まるのです。
ノウハウを学んで、はい、おしまいというのでは、「始まり」が「終わり」に
なってしまいます。
それでは、人は成長できません。
勉強だと思って、本を読むことはいい。
けれど、書かれていることを鵜呑みにせず、「ノウホワイ」の視点を忘れないことです。
そこから考えて工夫し、自分だけのノウハウを積み上げていくのです。
(本書159ページ)

まさにその通りだ。
「なぜ?」「どうして?」を考えることが原点なんですよね。
私が在野の研究者を続ける理由もまさにここにあります。
何か変だぞ、と感じることが研究の原点であり、人が気付かないものに
気付ける自分の特長を育ててくれた思考法そのものです。
ワタミの成長の原点はこの思考法にあったのでしょうね。


最後に、教えられるのはゴールの道すじだけ、と、夢を追うのに、遅すぎる
ことはない、では、渡辺氏が伝えたいことは同じものであろう。
これは、上記「ノウハウ」よりも「ノウホワイ」にも共通するものだ。

偏差値の高い学校に入ることだけを目標に受験勉強をした子どもが、
合格して大学に入ったら、とたんに勉強しなくなることが多いのは、
その先に目標がなくなったからです。
大学生くらいの年齢になれば、誰だって「あれ、自分は何がしたいのだろう?」
と思うでしょう。
そのときに答えが少しも見えないようでは、もう遅いのです。
いま社会問題になっているニートの増加は、若者が自分で考えて決めた目標を
持っていないことが最大の原因だと思います。(本書220ページ)

どんな夢、どんな目標を持つかは、他人に教わるものではありません。
「教える」ことができるのは、あくまで、そこに近づくための手段でしか
ありません。
お金に対する捉え方と同じで、学校教育においても目的と手段が入れ替わって
しまっています。
みずからが決めた夢を持ち、そこへ向かって努力することによって、人は「育つ」のです。
夢だけが人を育て、成長させるのです。(本書221ページ)

「夢が大事だというのはわかるが、私の年齢では、夢を追いかけるには、
もう遅いのではないか?」
いいえ、夢を追いかけるのに遅すぎるということはありません。
というよりも、夢を追うことは、人生そのものです。
生きている限り、夢を追い続けよ。
私はつねにそう言っています。
もし、夢を追うこと自体を完全にあきらめてしまうのなら、問わなければなりません。
「あなたは、なんのために生きているのですか?」と。(本書254ページ)


私の場合には、夢追い人でありすぎる感はありますが・・・
たった一度きりの人生ですから、死ぬときに後悔をしたくないですからね。
どうせ死ぬなら、前のめりで倒れたいというのが本音です。
私はベンチャーの方が大好きなんですが、彼らの夢に向って突進していく
情熱が好きなんですね。
ベンチャーの皆さんの集まりに参加すると、その勢いに圧倒されることもあります。
夢に向って走れるというのは、幸せなことですね。
夢は見るものではなく、追い続けるもの、というのが私の持論。
追い続けなければ、夢が叶うことはないのですから。

本書からも、そういう生き方を貫いてきた渡辺氏の情熱が迸っていますね。