銀行に受けのいい決算書その3  - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

須藤 利究
有限会社RIKYU・コンサルティング 代表取締役
経営コンサルタント

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閲覧数順 2024年04月19日更新

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銀行に受けのいい決算書その3 

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銀行の決算書の見方
さて、「銀行に受けのいい決算書」シリーズの3回目です。

引き続き決算書の話をしましょう。
経営者や財務担当の方、今日も決算書のご用意お願いします。

資産・負債・資本の三つの箱のうち、今日は「資産」について話の続き
をして見たいと思います。

「流動資産」は現金→預金→受取手形→売掛金→製品→仕掛品などの
順に並んでいます。と前回説明しました。
受取手形の中に、不渡手形は混入していませんか?銀行は倒産情報
などは事前に持っていますので、明細書の振出人の名前を見ただけで
判ってしまうことも多々あるでしょう。その他の残高に計上したりして
も金額が大きければ、その他の明細を要求されたり、○○工業の手形が
ないですね?などとよほど上手に隠したりした積りでも銀行の情報力は
侮れないと思います。ちょっと会話方式で書いて見たいと思います。

銀行担当(以下銀と略)「○○工業との取引はなくなりましたか?」
社長(以下社と略)「ああ〜最近あまりないな」

銀「売上が横這いなのに、受取手形の残高が増えていますね?」
 「支払サイトの延びた先とかありますか?」
社「そんなに増えてるかな?(しばし沈黙)特に記憶がないだけど」
銀「その他の受取手形の残高が特に増えています。○○工業は入ってない
  ですね。○○工業は確か去年の暮れ倒産してますからね」
 「とりあえずその他の明細と増えた理由を調べて教えて下さい」

銀行の外に出て、社長のひとり言
社長「全く痛いところをついてくるよな、お察しの通り○○工業の手形
 が入ってますよ〜だ。知っているなら回りくどい言い方はめげるよな」

結局、○○工業の手形の存在を認めたのです。この金額がまた純資産
(自己資本)を減らすのです。また、前記まで明細書に手形の満期日が
書いてあったものが、突然なくなったりしたりするのも余りうまい方法
とは言えません。

棚卸資産回転率が高ければ、一般的に不良在庫が発生する要素は少ない
と判断できますが、製品・半製品・現材料などの残高が売上に比して、
多いと回転率は当然下がります。もちろん業種に違ってきますが、銀行は
かなり細かく分類した業種別の統計を持っています。

不良在庫は、銀行員がメーカーの工場にいって見ても正直見た材料が
不良在庫とか見極められるまでの能力はありません。
しかし業種統計を大きく下回る年が何年も続くとか、売上横這いなのに
棚卸資産が急激増えたなどにより、不良在庫の疑いを持ち出すのです。
スコアリングなどでも棚卸資産回転率は重視されます。また不良在庫が
多いと流動比率が(流動資産÷流動負債)が高く出すぎるなんてことも
ありますよね。


今回は受取手形と製品・仕掛品、などの棚卸資産に着目して見ました。
次回は、短期貸付金や未収金などについて説明したいと思います。

銀行が着目する点を知っているだけで対策は立てやすいはずですよね。

飽きてきた方もいらっしゃるかも知れませんが、頑張っていきましょう。
社長の仕事は、税務署提出の決算書で安心はなりませんぞ。