「即戦力志向」、「雇用の流動化」、「タイトな新卒(売り手)市場」などの社会情勢がからみ、中小企業が優秀な人材の確保を「中途採用」に依存せざるをえない実情を反映したものとの見方、あるいは「雇用の流動化」と「就業ニーズの多様化」など労働力を供給する側と求める側の利害の一致をうまく利用し優秀な人材確保を図っている中小企業の企業努力の現われと言ってもよいかもしれません。
いずれにしても、こうした雇用の流動性は中小企業にとって「教育コストをかけずに即戦力を中途採用で調達できる」ことは大きなメリットと言えます。 しかし一方では冒頭のとおり「不足感」の高まりはすでに競争原理が働いているということでもあり、優秀な人材の流動性も高くなり、結果新卒市場同様「売り手市場」化し「コスト」にはねかえってくることも考えられます。
また、いくつかの企業を経験したキャリア系の中途採用者は権利意識も高く企業との「交渉力」も備えていることも多く、コンプライアンス水準の低い中小企業は彼らの選択肢から外れる、つまり中途採用労働者側の中小企業に対する選別志向も高まってくるでしょう。
さらに「キーパーソン」ということで「営業秘密」に接するポジションにつく可能性が高いことから、雇用の流動性の高まりの中で今度はその「営業秘密」が外部に流出しやすくなる(あるいは他社の「営業秘密」を持ちこんでしまう)リスクに対する体系的な対策も必要になってきます。
【関連コラム】 営業秘密に対するリスクマネジメント(1)〜(5)
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(次コラムへ続く)