「品格経営」商売繁盛ニュース Vol.11 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

牛田 雅志
ブレインリンク・コンサルティング株式会社 
税理士
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「品格経営」商売繁盛ニュース Vol.11

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商売繁盛ニュース
エクレアが一つない

子供達が幼い頃、夕方行徳駅前の洋菓子店で、シュークリームとエクレアをそれぞれ家族五人分買って帰りました。子供達はやった〜と大喜びです。
私は、「シュークリームとエクレア一人一つずつだからね。」と注意を促します。
皆が食べた後、私がケーキの箱をのぞくと、シュークリームが一つだけしか残っていませんでした。
「子供達め、あんなに一人一個ずつと言ったのに誰か二つ食べたなぁ。」と憤慨しながら、「誰がエクレア二つ食べたのだ!今なら許してやるから正直に言いなさい。お父さんは楽しみにしていたのだぞ〜。」とテレビをみている子供達に向かって叫びました。

子供達は全員、「一つしか食べてないよ〜。人を疑うなんて最低〜。」と私に逆襲してきます。まずいと思った私は、妻に助けを求めました。
「ちゃんと五個ずつ買ってきたのだ。それなのに一つ足りないのはあり得ない。誰か絶対食べたのだ!」
とあくまでも犯人は家族内にいると主張しました。
妻は冷静に、「じゃあ、食べた後に袋が残っているはず。その袋の数を確かめたら。」とアドバイスしてくれました。

私は、すぐにゴミ箱から、シュークリームとエクレアの包装紙を取り出し数えました。一枚二枚・・・。これで、絶対犯人が子供達であることを証明してやる!
シュークリームを食べた後の包装紙は四枚ありました。残ったシュークリーム一個と合わせると五個あったということです。でも、エクレアのそれは何度数えても四枚しかありません。
「う〜。困った。五枚あるはずなのに。なぜだ・・・。」
ゴミ箱を前にひとり困っていると、妻が一言
「最初から四つしかなかったのよ。あなたはちゃんとお店で数を確認したの?」
「そんなこと確認してないよ。お店の人に聞かれたと思うけどちゃんと見てないよ。」
妻は、軽蔑のまなざしで、「ちゃんと確認もしてもないくせに、子供達を犯人扱いするなんて父親失格ね!」と私のことを責めます。
さすがに、私も反省しごめんなさいと子供達に謝りました。

お店にクレーム


 妻は、意気消沈している私を現実に引き戻します。
「一つ足らないのだから、お店に戻ってエクレアをもらってくるか、代金を返してもらうかしてきなさいよ。」
 私は、たかだか1個100円のケーキにクレームをつけるなんて、面倒くさいよと主張します。
「あなたは何を躊躇しているの。お金の問題ではなくて、お店に一つエクレアが入ってなかったと伝えるだけじゃないの。」と切り返します。
正直私は、お店に戻って店員さんにクレームをつけるのが嫌だったのです。
私の頭の中では、「お店の人は絶対私の言うことを信じない(はず)!」「いちゃもんをつけてエクレアをもうひとつ貰おうとしているか100円欲しさに責任をなすりつけようとしていると私を疑う(はず)。」と考えていたからです。
私は、「クレームをつける人は自己本位な人」とマイナスイメージで思い込んでいたのです。
この先入観があったからこそ、私は堂々とクレームが言えなかったのです。自分が「いちゃもんをつける身勝手な人」と思われるのが嫌だったのです。
私があくまでもお店には行かないと言うと、妻はあきれかえって、「もうあなたには頼まない。私が明日行ってエクレアをもらってくる!」と宣言し早々に寝てしまいました。

翌日本当に妻はお店に出向きました。そして、妻は店員さんに「昨晩、夫がケーキを買いましたが、エクレアがひとつ足らなかったのです。」と苦情を申し出ました。
「レシートはお持ちですか?」と店員さんに言われたので、「ええ、これがそのレシートです。」と妻は店員さんに渡しました。
レシートを見た店員さんは、「これは大変失礼しました。こちらの手違いで一つ少なくなってしまって誠に申し訳ありません。ご指摘いただいてありがとうございます。お代金はもちろんご返金させていただきます。また、お詫びとしてエクレアをお持ち帰りください。」と丁重に対応してくださったそうです。

妻はその晩、もらったエクレアを私に見せ、「ほら、私が正直に言ったおかげで、お金は戻ってくるしエクレアまでもらっちゃったわ。」と大いに自慢しました。さらに、「あの店員さんは感じが良かったわ。また今度も買ってきてあげてね。」とそのお店の熱烈なファンになっていました。

店員さんは妻のことを最初から「疑わず信用し」、妻が言った苦情を「素直に聞き」、苦情自体を「歓迎する」と同時に、苦情を言った妻に対して「感謝をしました」。
この店員さんは、私が持っていたクレームに対する偏見を木っ端微塵に砕いてくれました。

商売繁盛マーケティングでは、

「お客様からの信頼を得る」=「お客様をまず先に信頼する」

と考えます。

私も、やっとお客様からの苦情やクレームを歓迎できるようになりました。私の弱点を補完していただいていると考えられようになり、感謝まで出来るようになりました。
今でも時々、このお店でエクレアを買うたびに、妻と子供達から大クレームを受けたことを思い出します。そして、妻と子供達から、エクレアで失った信頼を回復するチャンスを狙っています!