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税務当局との判断の違いだけで178億追徴、アリコ

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アリコジャパンがサブプライムローン問題後の急激な円高の影響として
外貨建て資産の評価損を計上したところ、国税当局はこれを利益調整として
認めず、178億円もの追徴処分を行ったという。
16日3時4分asahi.com記事はこう報じた。

外資系生命保険大手「アリコジャパン」(東京)が東京国税局から約178億円
を追徴課税される見込みとなったことが分かった。
同社はサブプライムローン問題後の急激な円高に伴い、価値が大きく
減少した外貨建て資産の評価損を08年3月期に申告。
だが国税局はこれを認めず、利益調整だとして三百数十億円の申告漏れを
指摘したという。
約178億円の追徴税額は過少申告加算税や地方税、延滞税を含む。
同社は「当局とは見解の相違があり、異議申し立てを含めて対応を検討中」
としている。
同社の説明によると、同社は顧客が払い込んだ保険料などの多くを、
米国の社債など外貨建て有価証券で資産運用していた。
しかし07年夏にサブプライムローン問題が表面化し、ドル円相場は同年6月の
124円台から大きく円高が進行。
期末直前の08年3月中旬には、一時95円台まで進んだ。
そのため、外貨建て資産の価値も急減した。
同社は、期末の資産の時価に対する含み損の割合がおおむね15%以上に
拡大すると実際の損失とみなして計上できる税法上の規定「15%ルール」
を用いて、評価損を08年3月期に申告した。
ところが、これらの外貨建て資産に、同社は為替変動リスクを回避するため、
相場に関係なく一定のレートで取引できる「通貨オプション」などの
デリバティブ(金融派生商品)取引を利用していた。
税法上、こうしたデリバティブを利用した外貨建て資産は15%ルールの
適用対象外とされる。
このため国税局は、同社の法令の適用に誤りがあり、評価損を計上したのは
認められないと判断。
結果的に、同期の申告所得を低く抑えるための利益調整だったとみている模様だ。
同社は他の経理ミスを含め、同期までの3年間で三百数十億円の申告漏れを
指摘されたという。
同社は「為替相場の大幅な変動で、デリバティブ取引による損失回避が
期待した通りには行われず、実際に損失を被った。当社が利用した
デリバティブの内容は複雑。現実の取引はどんどん進んでおり、15%ルール
に当てはめるのは難しい。意図的に利益を減らそうとしたのではない」
などと主張している。


今回のアリコのケースは重加算税は課されていない単なる法令の適用ミス
と扱われたようだが、外資のタックス・ポリシーを考えれば、15%ルールの
適用ミスとは考えにくいのではないだろうか。
法規の網の目を縫った租税回避商品の開発がアメリカの金融商品の特徴
であり、金融商品設計の最先端を行く企業が法規をきちんと読んでいない
ためのミスが生じるとは到底思えないからだ。

ただ、アリコは異議申立を含めて対応を検討中だという。
当然異議申立を行い、国税当局もこれは跳ねるだろうから、法解釈を巡る
舞台は、当然に審判所であり、裁判所になるものと考えられる。

我が国の税法は残念なことに網羅的に整備された税法体系になっていないのが
実情で、判断基準が不明確になっているものも多いため、このような外資系
企業の対応は、我が国税法の近代化のために貢献して頂いているのが現状だ。

良くも悪くも、最先端の租税回避商品が開発されて、はじめて法の不備に
気が付くケースも多く、租税法律主義が完全に機能しているとは言い難いのだ。
特にその機能の1つである法の予測可能性の確保という側面においては、
今回のケースもそうであろうが、ムリな節税を企図しても租税回避として
否認されるのは兎も角、ムリな節税策ではなかったつもりが、国税当局から
租税回避として否認されるケースも少なくないのではないだろうか。

租税回避の否認を裁判で争って納税者が勝つというケースも増えているのは、
法の不備が原因の1つにあると考えても良いであろう。
納税者にとっても法に書いてある通りには判断できない以上に、税務職員も
法による解釈ではなく、国民を拘束できない税務署内部の業務命令でしかない
通達や情報等を使っても判断に苦しむケースも多いのではないだろうか。

これは究極的には、そのような法律を改正すらしない議員を選び続けてきた
我々国民の側にも責任があろうが、少なくとも、現場の声として法解釈で
判断できないような法については、即刻改正法案を出して頂けるよう、
今度の総選挙で選ばれる議員たちには、勉強して頂きたいものである。

ただ、いつも思うのは、不正行為による追徴事件と、今回のような
ケースとが、一般の読者からは同じ内容であるかのようにしか写らない
報道のあり方には苦言を呈したい。
少なくとも、今回のアリコのケースは悪質なものではないと国税当局が
判断しているのだから、さも悪さをしたかのような報道は避けて頂きたい
ものである。

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