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麻生・鳩山党首討論を受けて、消費税問題を考える

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税制改正 平成22年度税制改正
麻生首相と鳩山代表の党首討論が昨日12日開催された。
これまでの攻防とは異なり、攻められっぱなしだった麻生首相が、
民主党のマニュフェストの内容に対して財源問題を強く印象付けるよう
攻めに転じていたことが特長だったようだ。
12日23時24分asahi.com記事はこう報じた。

麻生首相と民主党の鳩山代表による党首討論が12日、東京都内のホテルで
開かれ、マニフェスト(政権公約)で掲げた政策を実現する財源や
外交・安全保障政策などが主な論点になった。
首相は「財源なきばらまきは無責任」と民主党を批判。
鳩山氏は「(政府・与党は)無駄遣いを放置してきた」とし、予算組み替えで
捻出できると反論した。
討論は学者や財界人らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」
(21世紀臨調)の主催。
約1時間半行われた。衆院解散後、両氏が一対一で討論するのは初めて。
討論前の冒頭発言で首相は「民主党との一番の違いは責任力だ」と強調。
「これ以上、借金を子や孫の代に先送りするわけにはいかない」として
4年間消費税を引き上げないとしている民主党を批判した。
鳩山氏は「今回初めて政権を選べる選挙になる。国民が総参加して
政権選択をしてもらいたい」と訴えた。
討論で首相は、民主党の主要政策の子ども手当や高速道路無料化、
農家戸別所得補償の財源のあいまいさを追及。
鳩山氏は「財源は心配していない」と述べ、ダム事業などの中止や延期、
無駄遣い廃止、官僚の天下り先の予算削減で9.1兆円を確保できると反論した。
全額消費税で賄う民主党の最低保障年金に関連し、首相は現行の基礎年金
給付20兆円に対し、消費税収が13兆円しかない現状を指摘。
「年金給付を大幅にカットするか、消費税率をよほど上げないと、
全額税方式は実現できない」と迫った。
鳩山氏は将来の消費税引き上げの必要性を認め、「20年かけて徐々に
移行させる。1年1年における消費税負担がぐっと増えるわけではない」
と説明した。
外交・安保で首相は、北朝鮮制裁の貨物検査法案の廃案について、民主党が
審議に協力しなかったためと批判。
鳩山氏は与党の国会提出が遅かったためと反論し、「政権をとっても進めたい」
と民主党政権下で成立をめざす方針を明らかにした。
インド洋での補給支援は「アフガンの平和に資するか疑問」と単純延長は
否定しつつ、外交の継続性は重視する考えを示した。
鳩山氏は、自民党がマニフェストに(1)10年度後半の年率2%の経済成長
(2)消費税率引き上げを含む税制改革を経済状況の好転後遅滞なく実施
と明記したことの論理的結果として「11年には消費税を増税すると解釈
してよいか」とただした。
首相は「景気対策をやり遂げ、そのうえで消費税を上げられる環境を
作り上げなければならない」と時期は明言しなかった。


今回の党首討論における秀逸の攻めは、年金制度の全額税方式への移行を
巡る消費税財源の必要性であろう。
生活者保護を最優先政策に掲げる民主党の財源政策の矛盾を突いた点で、
現行の基礎年金給付が20兆円あるところ、現行の消費税歳入がわずかに
13兆円しかないことから、民主党の主張する全額消費税を財源とする
最低保障年金をカバーできない点を指摘し、4年間消費税を増税しなくても
財源が確保できるとする民主党の主張の矛盾を指摘したのだ。

とすると、民主党政権が誕生すると、自動的に年金給付額が35%カット
されるということになるのだろうか。
財源問題を俎上にのせず耳障りのいい政策を主張することはまさにバラマキ。
麻生首相のブレどころの騒ぎではない。
生活維新を主張した小沢体制のときからの主張の改悪を一切の説明もなく
変えてしまったとしたら、これ以上のブレはないのではないのか。
それとも、鳩山氏は党の政調会から何も聞かされていない裸の王様なのか?

私は、税の研究者の端くれとして、所得課税の景気変動に対する脆弱性を
カバーするためにも、消費課税を強化すべきだと考えているし、何よりも
長期的に安定した財源の確保が絶対的に必要な社会保障費や医療関係費の
財源については、景気変動の影響を受けにくい消費課税、特に消費税を
強化すべきだと考えている。

経済成長を続けている若い社会なら、高齢者が増加してもその負担を
カバーできるほどの所得税や法人税による歳入が確保できるはずだが、
(中川氏や小池氏が目指す、いわゆる上げ潮派の財源はココ)
経済成長の原動力である若年層が急激に減少しつつある我が国に、
その原動力となる若年層の労働力はない。
したがって、高所得者層が減少していく一方で、必然的に低所得者層となる
若年労働者が高所得者層にシフトしていく時期でも、高所得者層の減少の
スピードの方が速くなるであろう。
所得課税による税収の伸びは短期的にはあり得ようが、中長期的には
必然的に税収の減少を招くことになる。
しかし、高所得者層から年金収入等のみになり低所得者層にシフトする
退職サラリーマン層が増加するのだから、年金給付を含む社会保障費と
医療関係費の財政負担が増加することは必然的なのだ。

制度設計を含めた抜本的な税制改革を4年間凍結するということは、
所得課税に頼る税制構造を4年間維持し、問題解決を先送りすることであり、
既に遅きに失している我が国の抜本的税制改革を先送りすることは、
致命的になりかねない大問題ではないだろうか。

消費税を必ず増税しろと言う気はない。
来るべき民主党政権下の4年間においても抜本的な税制改革の議論を
着実に推し進め、もし本当に必要であれば、鳩山政権下においてでも
消費税増税を決断すべき場合もあり得るとなぜ言えないのか。
民主党に期待しつつも、鳩山氏に若干の不安を隠せないのは、この点にある。

理想主義者の鳩山氏に対して、本当に厳しい現実が突きつけられたときに
どう対処していくのか。
現実路線を受け入れるだけの度量を感じられないのは私だけではあるまい。

しかし、もし鳩山政権が倒れてしまったときに、解散総選挙を選択せずに、
総辞職のみで次の内閣が誕生した場合には、小泉元首相辞任後の安倍、福田、
麻生と三代続いた選挙を経ない内閣を批判し続けた民主党も同じ道を歩む
ことになり、我が国国民の政治不信はますます酷くなろう。

特に問題が起こらずに無事に次の選挙まで鳩山民主党政権が維持されれば
良いのであるが、我が国国民は期待を裏切られたときの過剰反応が大きい
だけに(私はその原因が発言に責任を持つ気のないテレビキャスターの
不必要で不用意な発言にあると考えている)、民主党が壊滅的なダメージを
受けてしまうことを心配する。
野合により政権を引き受けてしまったばかりに内部分裂を起こし、崩壊した
社会党の二の舞にならないことを切に願うばかりだ。

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