廃棄物処理政策に関して検討されている論点(7) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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閲覧数順 2016年12月05日更新

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廃棄物処理政策に関して検討されている論点(7)

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法令改正 2010年 廃棄物処理法改正

広域認定制度




 中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、現行の廃棄物処理制度の問題点の一つとして、「リサイクルの推進」が議論されました。

リサイクルの推進
 広域認定制度は、製造等の部門の事業者の参入等により都道府県等の区域を越えて広域的にリサイクル等の処理をしようとする事例が増えたことを踏まえ、拡大生産者責任の考え方に立って、このような処理を円滑に行いうるよう廃棄物処理業に係る許可規制の特例を整備することにより、適正処理やリサイクルの推進、最終処分量の抑制などを進めていく観点から創設されたものである。
 しかし、現行では、認定に係る廃棄物の処理量、処理に伴い生じた廃棄物の量、再生品の数量、熱回収により得られた熱量は明らかであるが、広域認定に基づきどのように製品設計への反映を行う予定であるのか、
また、その実施状況が必ずしも明らかではないため、認定業者が環境大臣に提出する実施計画書及び実績報告書等によりこれを明らかにするべきではないか。
 また、共同申請及び認定業者からの委託が認められている広域認定は、スキームの関係者が非常に多数にのぼることを踏まえ、その事業内容の一部を変更した際の認定又は届出の手続、届出期限や廃棄物運搬時の車両への掲示方法等について、適正処理を確保しつつ、事業を円滑に行いうるよう一定の合理化が必要ではないか。

 というものです。


 広域認定制度とは、「製造事業者」が主体となり、廃棄物となった自社製品を広域から回収し、それを適切に処理、またはリサイクルすることを、環境省が認定する制度のことです。

 広域認定を受けた企業は、自治体から産業廃棄物処理業の許可を取得することなく、全国から自社製品を回収することが可能となります。
 ※ただし、産業廃棄物処理施設の設置許可は必要。

 こう書くと大変使い勝手の良い制度のように見えますが、「自社製品」という点がポイントとなります。


広域認定で処理・リサイクルできるもの



 広域認定を受けて処理・リサイクルできるものは、その認定を受けた製造事業者の製品「のみ」であることに注意しなければなりません。

 その理由を、環境省はこう語っています。
本制度は、製造事業者等自身が自社の製品の再生又は処理の行程に関与することで、効率的な再生利用等を推進し、再生又は処理しやすい製品設計への反映を進めることが目的です。そのため、同一性状であることを理由として、他社製品も対象とすることは認めていません。


 この定義(解釈?)こそが、広域認定制度の普及を妨げている元凶です。

 自動車やパソコンなど、大部分の機械製品は、各メーカーによって設計が著しく異なるわけではありません。

 ネジなどの部品のほとんどは、汎用品が使われていますので、各メーカーがその気になれば、同種の製品の処理・リサイクルは容易に行えます。

 本当に国全体でリサイクルを進めたいのであれば、広域認定制度において、他社製品の処理・リサイクルもできるよう認めるべきです。


 しかしながら、冒頭で紹介した専門委員会での検討状況をみる限り、
 環境省に広域認定の枠組みを広げるつもりは無さそうです。

 第9回専門委員会資料
 共同申請及び認定業者からの委託が認められている広域認定制度については、スキーム関係者が非常に多数にのぼることを踏まえ、その事業内容の一部を変更した際の手続、届出期限や廃棄物運搬時の車両への掲示方法等について、適正処理を確保しつつ、事業を円滑に行いうるよう一定の合理化が必要である。また、拡大生産者責任に基づき製造事業者等によるDfE が促進されることが期待されるものの、現在は認定に基づきどのように行ったかが必ずしも明らかではないので、その状況を明らかにすることなどにより、DfE の促進に資する取組を講じていくべきである。
 再生利用認定については、再生利用の状況をフォローアップしつつ必要に応じ更なる活用策を検討するなど、生活環境保全上の支障が生じないよう適切な制度運用を図っていくべきである。
 広域認定業者、再生利用認定業者による不適正事例に対し、報告徴収から認定取消しを円滑に行い得るよう、環境大臣と都道府県知事において一連の措置の連携を図っていく必要がある。


 環境省は、監視や処理実績の把握に熱心になるのも結構ですが、「制度の設計と運用」という、国が為すべき本来の役割も忘れて欲しくないものです。

 また、意味がわかりにくい英語で、国民の目をくらますのも慎んでもらいたいものです。
 上掲の「DfE」とは、「Design for Environment」で、「環境配慮設計」のことだそうです。
 あえて「DfE」と恰好をつけて書かなくても、「環境配慮設計」は日本語として十分定着していると思うのですが。
  

 
 運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
 著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」