廃棄物処理政策に関して検討されている論点(6) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:企業法務

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
尾上 雅典
(行政書士)
河野 英仁
(弁理士)

閲覧数順 2024年04月23日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

廃棄物処理政策に関して検討されている論点(6)

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 企業法務
  3. 企業法務全般
法令改正 2010年 廃棄物処理法改正

多量排出事業者関連の改正予定




 中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、現行の廃棄物処理制度の問題点として、「排出抑制の徹底」が議論されました。

排出抑制の徹底
 現行の多量排出事業者による減量その他処理に関する計画制度を充実させるべき

 というものです。

 
 言うまでも無く、廃棄物の排出抑制は非常に重要な取組みです。

 しかし、その取組みの責任を、年間1,000t以上の産業廃棄物を排出している「多量排出事業者」のみに科すのは、問題の矮小化と言わざるを得ません。

 もちろん、多量排出事業者自身が、自ら廃棄物の発生抑制に努力することも大変有効なのですが

 問題の本質は、資源が少ない国でありながら、廃棄物を日々大量に発生させ続けている、日本の社会構造をどうするかということです。

 廃棄物を大量に発生させている一部の事業者を規制すれば済む話ではありません。

 日本は市民一人一人の意識レベルでは、世界でも類を見ないほど、分別排出の意識付けが進んでいる国ですが
 
 それでも、自分が出したゴミがどこに行き、どうやって処理されているかを明確に知っている人は非常に少ないです。

 こと、「事業活動」という、個人の懐には直結しない産業廃棄物の処理場面においては、一般廃棄物以上に、排出事業者はゴミの行く末に無関心なのではないでしょうか。


 社会構造を変えていくためには、一部の関係者のみを規制するのではなく、自分の責任をすべての当事者に認識してもらい、社会の一員としてふさわしい行動を取っていただく必要があるはずです。

 
 ちなみに、多量排出事業者に関する改正は、以下のような内容で検討されています。

 第8回専門委員会資料
・減量化に向けた取組をより強力に推進するためには、各排出事業者の取組として委託先での再生利用等による減量取組も含めるなど多量排出事業者処理計画の内容を見直すべきではないか。
・多量排出事業者処理計画に定めた産業廃棄物発生量の目標量の達成に向け、多量排出事業者処理計画に関する評価を事業場ごとに個別に行うとともに、事業者全体の取組の優良事例や減量を促していくため
の判断の指標を示していくべきではないか。
・多量排出事業者処理計画及びその実施状況については、幅広い人々がより情報にアクセスしやすいようインターネットを利用して公表するべきではないか。
・多量排出事業者処理計画の様式を統一化すべきではないか。
・現行法上、多量排出事業者処理計画を提出しない事業者に対し何らの法的措置を講じることができないが、本制度の円滑な実施を確保するためには、未提出の事業者に対する担保措置を設け、公平性を確保すると
ともに、本制度の実効性を高めていくことが必要ではないか。



 このまま法律改正が進んだとしても、多量排出事業者が提出する書類の量や内容が若干増えるだけになりそうです。 


 
 運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
 著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」