- 島田 千草
- 株式会社ノーメン・ジャパン 代表取締役
- 東京都
- ブランドコンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
『ネイティブチェックの必要性』シリーズの第5回目として、最近BBC NEWSでも記事として取り上げられた、人種差別問題に発展しているナイジェリアとロシアの合弁企業名について、さらに、ネイティブチェックが必要と思われる、アメリカが得意とするIT分野関連のちょっと風変わりなブランドネームをご紹介していきます。
NIGAZ
ガスプロム(Gazprom)は、天然ガスの生産・供給において世界最大のロシア企業です。
2006年、世界のエネルギー企業としては、第1位のエクソンモービルに次ぐ企業になりましたが、現在ではカントリーリスクを危惧する理由や、ウクライナとのガス供給紛争などの理由で世界ランキングトップ10入りも果たせなかったということですが、いずれにせよ巨大企業であることには変わりありません。
人種差別問題と抗議の声や投書が寄せられているのが、ナイジェリアの国営企業NNPC(Nigeria National Petroleum Corporation)との合弁企業名
NIGAZ(ニガズ/ニガーズ)です!
ニガーズって、英語をよく知らない私たち日本人でも、アメリカ映画のワンシーンで差別用語的に叫ばれたりしているのを、耳にしたことありませんか?
確かに、ナイジェリアは英語ではNigeria
もうひとつニジェールNigerという国が独立してそれぞれ存在しており、
共に、ラテン語で「黒」を意味する''niger''に由来していることは分かっています。
しかし、それにしてもニガーズniggers=Negroが企業名では、ネーミングクリエイターとしては、ちょっと想像を絶する話です。
たとえロシアの企業でも、40万人ほどが働く巨大企業ガスプロムの中で、英語を話せる社員がいないとは思えないのですが。
主要言語での言語文化のネガティブスクリーニングが必要でしたね。
次に、ガスプロムの過ちほどではありませんが、アメリカ市場でのIT関連のサービスネーミングにやや疑問を覚えているのも事実です。
さてどんなものか3つのネーミングについてお話しいたしましょう。
tokoni
トコニは、「話」の共有を行うサイトで、昨年12月にオープン。
tokoniのサイトへ行ってみると、Life is full of stories. Tell yours.といったタグラインがついていました。
EbayとSkypeをやめた2人がサイトを設立したそうです。
問題は、コンセプトとかの話ではなく、日本人の耳には、やはり「床に」って聞こえてしまいます。
では、「床」のつく表現を広辞苑でざっと調べましたら、こんな言葉が挙げられます。
寝床 川床 床づれ 床についている 床上手 床あしらい
なぜか健全なイメージが持てないのは、私が考え過ぎなだけでしょうか?
続いて、
boku
ボクは、携帯電話からのモバイルペイメントのサービスを提供している会社名とそのサービス名です。
どうも、フランス語のMerci beaucoupメルシー・ボークー(どうもありがとう)に由来している感もありますが、やはりオンライン支払いのサービスで最もアピールする必要がある信頼や''セキュリティー''がこの「''ボク''」にはちょっと欠けているような気がします。
最後に、
kijiji
キジジは、eBayの無料3行広告サイトのブランドネームです。
まず、綴りから、jとiが絡み合って読みにくいですね。
さらに、「記事」を想起させたかったのかもしれませんが、他に「生地」や「雉子」そして「木地」まで日本人なら思いつくことでしょう。
それから「爺」もどうしても思い浮かべてしまうのは、やはりネーミングクリエイターの性なのでしょうか。
いずれにせよ、USマーケットをメインターゲットにしても、主要言語での言語文化のネガティブスクリーニングは必要と思います。
さらに、インターネットには国境もほぼ存在しない状況ですから、事前にチェックする必要は大いにあります。
商標だけの問題に留めておくのは、自らリスクを負うようなものです。
みなさんの会社のブランドネームは、事前にリスク回避が正しく行われていますか?
グローバルネーミング開発
世界へ挑むブランドネーム・CI開発
株式会社 ノーメン・ジャパン
www.nomenjapan.com