「ソフトづくり」なくして組織力強化はない - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

伊藤 健之
ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月18日更新

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「ソフトづくり」なくして組織力強化はない

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会社よ、甦れ!部下も、社員も元気にできる
こんにちは。グランデコンサルティングの伊藤健之です。

みなさんは「組織のソフト」「組織のハード」という言葉を聞いたことがありますか?

ソフト面とは、従業員の気持ち、働く姿勢、知恵、人間関係、サービス提供の仕方などを指し、
ハード面は、戦略、プロセス、IT、制度、設備などを指します。

ハード面がWHAT(何を)だとすれば、ソフト面はWHY(なぜ)にあたるでしょう。

 「なぜこの戦略なのか?」
 「なんでこの制度が今必要なのか?」

これが働く人の腑に落ちている組織とそうでない組織では、働く姿勢やサービス提供の仕方に
大きな違いがでてくるでしょう。

戦略、システム、設備がいくら先進的でも、戦略や設備が仕事をしてくれるわけではありません。
戦略を実行したり、設備を動かすのはすべて人ですから、働く人の気持ちがついてきていなけれ
ば、素晴らしいハードも機能しないのです。

ハードとソフトは、「どちらかが一方よりも重要」という関係ではなく、この2つの“同期”を
しっかりとることで、強力な組織のパワーを発揮できるのです。
この不況下でも業績を伸ばしている元気な会社は、みなソフト面が強い会社だと思います。
(星野リゾート、バグジー、餃子の王将 武蔵溝ノ口店、サイバーエージェント・・などなど)

ハード面は目に見えるものなので真似されやすいですが、目に見えないソフト面は真似が
難しく優位を崩されにくい。だからソフト面が強い会社は好業績を継続できるのでしょう。

しかし、バブル崩壊後の十数年にわたり「ハード偏重主義の経営」をしてきたことで組織のソフト
面が弱体化してしまったというお話は、今までのコラムにも書いてきたとおりです。

今回のコラムでは、弱体化してしまった組織のソフト面の「再立ち上げ」について、書いてみたいと思います。
 
 
*マネジメントも現場も、みんな被害者なのか?
最近、訪問先の会社の役員の方々から、こんな話しをよく耳にします。

 「下から意見が上がってこなくて、困っている」 
 「昔は、何でも任せられる腹心の部下がいたけれど、最近は安心して任せられる部下がいない」
  ・・・ などなど

これこそまさに「組織のソフト面が弱体化」している現象面です。
「ソフト面が弱っているから下から意見が上がってこない」、「意見も上げてこない現場には、
安心して任せられない」という構図が見えてきます。

役員やマネジメントの方々に聞いてみると、
 「提案制度、座談会、社内SNSを用意したのに、なぜ意見を言ってこないのか」
 「科学的分析にもとづいた戦術や手法を提供したのに、なぜ成果が上がらないのか」
 「報奨などの諸制度をこれだけ揃えたのに、なぜ不平不満ばかり言うのか」
  ・・・
一方で、現場の人に聞いてみると、
 「こんなに悩んでいるのに、トップは悩みに向き合ってくれない」
 「上司は、数字(売上、利益、コスト)以外のことに興味がないから何を言ってもムダだ」
 「理解のない上司を、仕事に巻き込む気持ちが起きない」
  ・・・

どうやらお互いが被害者意識をもっているようです。
各々の立場になって考えてみると、どちらの主張も痛いほどよく分かります。
しかし、こうした不信感が続いてしまうのは組織にとって良いはずがありません。

この負の循環を断ち切って事態を好転させるカギが、「ソフト面の再立ち上げ」にあると
私は考えております。
  
 
*「ソフトづくり」について知ろう
組織におけるソフトづくりとは、「組織のソフト面をステージアップさせること」です。
これまでの経験から、私はソフトのステージを次のとおり10段階で定義しております。

 ステージ1  愚痴・不満から「何かをやろう」へ
 ステージ2  仲間を頼りにする
 ステージ3  現場がトップに関心をもつ
 ステージ4  小さな成果が上がる
 ステージ5  現場がトップに提言する
 ステージ6  現場の成果が組織のハードになる
 ステージ7  グループ同士のシナジーが出始める
 ステージ8  何でも反対する他部門長が協力的になる
 ステージ9  周りにもよい影響を及ぼす
 ステージ10 安心して現場に任せられる

ステージ1から始まり、ステージアップするにつれて組織のソフト面は強固になっていきます。

この考え方の重要なポイントは、
  「下のステージが獲得されないと、上のステージを獲得できない」
ということです。

たとえば、「現場がトップに提言しないのに、トップが安心して現場に任せることはない」
(ステージ5がなくして、ステージ10はない)し、「愚痴・不満ばかりの現場からは、まともな
提言が上がってこない」(ステージ1がなくして、ステージ5はない)ということです。

大切なことなので、何度でも繰り返して言います。
 「今まさに求められていることは、組織のソフト面を引き上げること」
  (ハード面をさらに磨くことではない)
 「ソフト面の引き上げとは、組織のソフト面をステージアップさせることである」
  (そうすれば、ハード面が抜群に機能しはじめる)
 
 
*では、どうしたらソフト面をステージアップできるのでしょうか?
組織のソフト面は、「マネージする側の気持ち」と「マネージされる側(現場)の気持ち」に
分けることができ、この両者の気持ちは「お互いに影響し合うことで変わっていく」という
特徴があります。“相互行為による成長”とも呼べるでしょう。

具体的には、次のような気持ちの変化のことです。

1) 仲間同士の「愚痴」の言い合いを通じて、「愚痴」の共感者を発見し、自分だけではない
安心感を得る(現場の気持ちの変化)
  ↓
2) 話をしているうちに「後ろ向きな愚痴」は単なる個人のわがままであることに気づき、
徐々に前向きな愚痴に転化していく(現場の気持ちの変化)
  ↓
3) 何かできることはないかという気持ちになってくる(現場の気持ちの変化)
  ↓
4) あまりにもたくさんの問題があることを知り、愕然とする(トップの気持ちの変化)
  ↓
5) 組織の課題について議論したり、協力し合って問題解決に取り組む仲間を信頼するように
なる(現場の気持ちの変化)
  ↓
6) チームで役割が与えられ、自分が役に立っている実感をもつ(現場の気持ちの変化)
  ↓
7) 普段、耳にすることとは異なる事実をいくつも発見し、組織の問題が(今まで考えて
いたことと)何か別のところにあるのではないか、という気持ちになる(トップの気持ちの変化)
  ↓
8) 現場の問題認識に興味を持ち始める(トップの気持ちの変化)
  ↓
(現場とトップの気持ちの変化は続く・・・)
 
 
*ソフト面を変化させるチェンジ・ドライバー
このように気持ち(ソフト面)が変わるには何らかの「気づき」があるわけですが、私はこれを
チェンジ・ドライバーと呼んでおります。

チェンジ・ドライバーを適切なタイミングで従業員およびマネジメントに気づかせていくことが、
外部ファシリテーターとしての私の使命だといつも感じております。

次回のコラムでは、マネジメントと現場のソフト面をステージアップ(成長)させるために、
私が用いているノウハウについてご紹介してみたいと思います。
 
 
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