中国における模造品と特許権に基づく権利行使(第9回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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中国における模造品と特許権に基づく権利行使(第9回)

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中国における模造品と特許権に基づく権利行使 
〜改正専利法を踏まえた中国模造品対策シミュレーション〜(第9回) 
河野特許事務所 2009年7月29日 執筆者:弁理士 河野英仁


5.被告の反論
 被告は,イ号製品が特許に係る外観設計と非類似であること,外観設計特許が無効であること,または,自由技術であること等により反論を試みることが想定される。本稿では無効の主張及び自由技術の抗弁について説明する。
(1)無効の主張
 日本の特許権侵害訴訟における被告は対抗手段として特許無効の審判を特許庁に対し請求することができるほか,裁判所においても特許の無効を抗弁として主張することができる。平成16 年改正法により新設された日本国特許法第104 条の3 は以下のとおり規定している。
日本国特許法第104 条の3
 「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において,当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは,特許権者又は専用実施権者は,相手方に対しその権利を行使することができない。
 同様に,米国においても日本と同じく裁判所において特許の無効を抗弁として主張することができる。日本国特許法第123 条に類する規定として米国特許法第282 条が存在する。以下に示す米国特許法第282 条(2)及び(3)が無効の抗弁の根拠である。
 「米国特許法第282 条…特許の有効性又は侵害に関する訴訟においては,次に掲げる事項は抗弁であるものとし,また,申立をしなければならない。…
(2) 特許要件として第II 部に規定されている理由(新規性102 条及び非自明性103 条)を基にする訴訟において,特許又は何れかのクレームの無効
(3) 第112 条(記載要件)又は第251 条(瑕疵がある特許の再発行)の要件に従っていないことを理由とする訴訟において,特許又は何れかのクレームの無効…
 しかしながら,中国においては日米と異なり,人民法院は特許の有効性については判断しない。そのため被告は人民法院においてではなく,復審委員会に対し特許無効の宣告を請求する必要がある(専利法第45 条)。
(2) 実用新型及び外観設計に基づく特許権侵害訴訟の中止
 実用新型及び外観設計に基づく特許権侵害訴訟において,被告が答弁期間中に復審委員会に無効宣告の請求を行った場合,原則として人民法院は訴訟を中止しなければならない。司法解釈第9 条(14)は以下のとおり規定している。
 「人民法院が受理した実用新型,外観設計特許侵害紛争案件について,被告が答弁期間中に当該特許権の無効宣告を請求した場合,人民法院は訴訟を中止しなければならない。ただし下記の一に該当する場合は,訴訟を中止しないことができる。
(1) 原告が提出した検索報告に実用新型特許が新規性,進歩性を喪失させる技術文献を発見しない場合。
(2) 被告が提出した証拠が,当該被告が使用する技術がすでに公知であることを証明するに足りる場合。
(3) 被告が当該特許権の無効宣告請求において提出した証拠または依拠した理由が明らかに不十分である場合。
(4) 人民法院が中止すべきでないと認めるその他の状況がある場合。
 被告が答弁期間満了後に遅れて無効宣告を請求したとしても人民法院は原則として訴訟を中止しない(同法第10 条)。その他,既に復審委員会による審理を経て,既に特許維持決定がなされている場合は,答弁期間内であっても,人民法院は訴訟を中止しないことができる(同法第11 条)。訴訟手続きの遅延を防止するためである。

(第10回に続く)

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